"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

音別 (根室本線) 1986

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海霧の底から立ち現れるような列車を撮りたくて音別へ通ったことは前にも書いた。尺別 (根室本線) 1993
それは音別でなくとも、庶路でも大楽毛でも良かったのだけれど、もし濃霧が切れて微かに望めるならバックは海で、線路から遠くなく俯瞰気味で、といった条件からは、音別川に沿った段丘の先端くらいしか思い浮かばなかった。
海霧の生ずる夏の季節を選び、駅前の潮見旅館に連泊を決め込んでイメージどおりの海霧との巡り合わせを待ったものだった。
定番のポイントでもあるのでご存知と思うが、市街地を望むその段丘上には音別町の墓地が造成されていて、先端部へは墓地下縁を通り抜けて草道が通じていた。

夏の道東の黎明は早いとはいえ、明けきれぬ内の海霧に沈む墓苑は、よくあるホラー映画のシーンのごとくだ。
その日、足早に通り過ぎようとすると、子供のはしゃぐ声が切れぎれに聞こえた。一瞬背中が凍りついて立ち尽くすと、濃霧で姿の見えないその声は、墓地の上の方からだんだんとこちらに近づき、緊張が恐怖に変わる直前に男の子と女の子の兄妹らしい二人が霧の中に見えた。
その声の主を「人」と確認し「まさか」が消えて安心した訳だが、列車を待つ間に疑念が湧いた。夜は明けていたとはいえ、午前4時過ぎだ。子供が二人だけで出歩くのだろうかと。あの二人は、本当にこの世の子供だったのか。

ここでの海霧の撮影は、結局のところイメージに描いた濃霧に出会えずに2シーズンで止めてしまった。列車だけが浮かび上がるような、霧の底の重苦しさを感じさせないようなシーンは撮れず仕舞だ。このカットは習作に終わっている。
列車は413列車<まりも>。
終着までは、まだ一時間ある。確かに、濃霧の底を縫うようにゆっくりと通り過ぎていった。

[Data] NikonF3P+AiNikkor50mm/F1.4 1/250sec@f5.6 FujiSC44filter Tri-X(ISO320) Compiled by CaptureOne5 on Mac.
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コメント

音別の丘

「尺別の丘」は先日行きましたが、「音別の丘」は音別寄りにあるのでしょうか。
確かに墓地があるようでしたね。でも「午前4時の子供」はマジで怖いですね。
何か黄泉の国から来るような、霧と鉄道の風景。

  • 2012/03/15(木) 23:15:29 |
  • URL |
  • 風太郎 #ORZvdv76
  • [ 編集 ]

音別の丘とは、駅のほうからなら音別川を渡る橋から正面に見えます。
墓標が沢山ならんでいるのもわかります。

この翌日も翌々日も同じ所を通らねばならなかった訳で、
そりゃあもう全速で駆け抜けましたよ。

  • 2012/03/16(金) 01:04:25 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

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