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"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

函館 (函館本線) 1983

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戦前期までの函館港と云えば、国鉄函館桟橋から弁天町の函館船渠(現函館どつく)に至る一帯、現在に西部地区とかウォーターフロントと呼ばれている地域を指していた。
幕末の「開港」時点で函館山の山麓が箱館であり、その前浜を埋め立てるなどして用地を得、やがて港湾が形成されて行ったゆえある。1932年に函館市の手により竣工した現在の西埠頭もその延長にあり、北洋漁業の大型母船なども接岸出来たそれは函館港の中心的存在であった。その供用により、港湾地区が漁業基地に、同時期に埋立ての進んだ若松町から海岸町の東側地区が石炭や原木など工業材の集積地と住み分けられたと函館市史にある。
それは、西埠頭に加えて、北海道庁による東側地区への大規模埠頭の築造計画が1927年の第二次拓殖計画に盛り込まれていたことも背景としていたのだが、国鉄の有川埠頭が戦時下の陸運転換政策にて応急に築造されたのみにて終戦を迎えてしまった。

その中央埠頭の着工は国土交通省函館開発建設部の資料によれば、終戦間もない1946年とあるのだが、1944年10月に陸軍が撮影した空中写真には埠頭の基部らしき姿が記録されており、40年代初頭には工事の始められていたと見える。第二次拓殖計画には、国鉄の若松埠頭(函館桟橋を含む国鉄の海陸荷役施設を指す)の北方に2基の大規模埠頭建設と、後背となる亀田地区の工業地域化が明記されていたのである。
けれど、実際に着工したのは現中央埠頭の一基に止まり、終戦を挟んで再着工されたと云うことなのだろう。その全ての工事竣工は1971年までを要したものの、背後に整備されていた倉庫群や集積場、工場等に接したことで函館港の中核的地位を西埠頭から奪ったのだった。
なお、その年には北側で万代埠頭築造も着工されて、第二次拓殖計画でのプランは40余年を経て達成されたことにはなっている。
中央埠頭への陸側の連絡路、即ち臨港道路は永く国道5号線からT字に分岐する中央埠頭通りだけだったのだが、1980年代半ばに新川広路を介しての道道86号函館南茅部線との直結が図られた。流石にこの時代ともなれば函館本線との交差は立体交差となり、函館運転所の検修庫を間近に見下ろす位置に中央埠頭跨線橋が架けられ、函館構内を見渡す新たな視界となっていた。

朝8時の函館構内、彼方市街地は低く差し込む朝日を反射するモヤに霞む。下り本線をDD51に牽かれて加速するのは長万部までの123列車。その先は245列車として室蘭に達していた。青函局[函3]運用-3組中の1組-4両編成である。
この頃、函館運転所には29両の51形客車が配置されていた。このカットに写らないのは、240列車に運用中の[函3]のもう1組-4両に、森から126列車で2番ホームに到着して回送を待っている[函5]運用の1組-8両、写真の[函3]に併結で木古内から到着した[函付1]運用の1組-3両だから、写真の123列車を含めると、この時刻に運用に就いているのは19両になる。なので、検修庫前の通路線をDD13にて客留線へと押し込まれて往くのは、夕方に木古内へ向かう1723列車となる[函3]の3組目と[函付1]だろう。運用表上では29両配置の23両使用、予備6両の需給なのだが、実質には、より余裕があったと見て取れる。
航送線へと繋がる副本1番から4番線には、DD51にDE10、2両のDD13が見える。DD13は道内での配置末期であった。

この頃、中央埠頭跨線橋自体は竣工したものの、肝心の新川広路側への斜路が未成で、階段で上る歩道だけが供用されていた。贅沢な「歩道橋」だったと云うべきか。

[Data] NikonF3P+AiNikkor105mm/F1.8S 1/250sec@f8 NON filter Tri-X(ISO320) Edit by LightroomCC on Mac.

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コメント

これぞ函館

ご無沙汰しております。
まさに「これぞ港町・函館」のヤードを
撮った一枚ですね。おもわず釘付けに
なりました。

  • 2016/07/14(木) 21:40:39 |
  • URL |
  • マイオ #pcU4xDNY
  • [ 編集 ]

Re: これぞ函館

コメントありがとうございます。

およそ30年を経た今に、ここから構内を見下ろせば、構内照明塔や客車庫は変わらぬものの電車線設備が線路上を覆い、何より配線が全て引き直されて全く異なります。
高架新駅などを別にして、これほど変化した停車場構内も例が無いと思います。それだけ、海陸連絡に特化した駅だったと云うことですね。

  • 2016/07/15(金) 13:54:30 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

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