"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

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落合 (根室本線) 1977

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ヲビルビルップの原野を目指した官設鉄道十勝線が下富良野(現富良野)を経由地としたのは、脊梁山脈に向けての経路に空知川の谷を選択したからに他ならない。妥当なエンジニアリングと云えよう。
けれど、その山越え経路の佐幌岳南方の標高640メートル程の鞍部、後に狩勝峠と命名される位置への選定は、土木方面に決して明るくは無い素人目にも非合理に見える。空知川支流の谷を詰めてゆく石狩側は良いにしても、十勝側には峻険な地形が続いているのである。

この経路決定に至る経緯詳細を記した資料には、今のところ出逢えていない。
眼を通し得た限りに、先住民による古の交通路として、佐幌岳北方のシーソラプチ川源流域から佐幌川水源域への標高780メートル程の峰を抜けるサヲロルペシペと、ずっと南側の臥牛山(串内山)から尾田朱山を結ぶ陵線の標高690メートル程の鞍部を越えるルウマソラチルペシペが確認されるものの、後の狩勝峠の記述は見当たらない。どうも、この鞍部越えが記録に現れるのは、1872年にここを通過した酒井忠郁による「北地履行記」が最初のようである。
そして、新得町史は、1898年の時の北海道庁鉄道部長 田辺朔郎技師による現地踏査は、その記述によるところが大きいとする。「北地履行記」には「跋渉セシ處ニシテ実ニ容易ノ山脈ナリ往々石狩ト十勝ノ開道ナスニアラバ又容易ナラント思想ス」と書かれていたのである。
田辺自身も参加したものかは分からぬが、当然に前記ルペシペの踏査も行われ、遅くとも1901年までには狩勝峠に加えてこれらも比較経路に選定されていた。余談ながら、現在の日勝峠のさらに南側、ペケレベツ岳南方経路を比較線としたと書く資料もあるのだが、これだと沙流川の谷を詰めることになり、これは十勝線には様々な経路が検討・調査されたものと解すべきだろう。

一方で鉄道より勾配に規定されない道路計画は先行し、広内信号場-西新得信号場 (根室本線) 1980 に書いた通り、石狩道路と呼ばれた交通路が1899年には前記ルウマソラチルペシペに開通していた。ここは現在にルウオマンソラップチ川上流では鞍部頂上まで串内牧場の牧草地が開かれているように緩斜面が続き、確かに道路には最適の経路に見える。
鉄道とて、その谷を遡ることに技術的困難は無く、手前の位置から斜面に取り付けば難なく峠下部へと到達出来たことだろう。その経路選定においても、ここと狩勝峠が最後まで比較検討の候補とされ、公式記録では無いけれど部内ではこれを推す日本人技師と狩勝峠を支持する英国人技術者との対立にまで発展したことが伝えられる。
では、狩勝峠への決定は如何なる事由からだったのだろうか。全くの私見ではあるが、やはり上部に掘削すべき隧道が左右したものとしか思えない。緩斜面で頂上へ至るルウマソラチルペシペのそれは確かに延長を要したには違いない。
とは云え、狩勝旧線の新内付近に存在した大きな馬蹄形線形を思えば、隧道を介在させない線形選定も可能だったとも思われ、やはり腑に落ちぬのではある。

写真は、第一落合トンネルから落合場内に進入する422列車。この隧道深くに落合の上り場内信号機が建植されている。
もうひとつ腑に落ちないのが、1901年に開駅した落合停車場の位置である。同年と云えば、まだ以遠の経路は未定だったはずなのだが、それは狩勝峠への延伸を意図したごとき位置である。ルウオマンソラップチ川の谷へと右転も考慮するならば、もっと起点寄りに置かれて不思議は無い。事実、狩勝新線建設には場内から分岐して、この第一落合トンネルを要した。

=主な参考文献=
北海道鉄道百年史 : 国鉄北海道総局 1976-1981
札幌工事局七十年史 : 国鉄札幌工事局 1977
新日本鉄道史 : 川上幸義 鉄道図書刊行会 1968
北海道殖民状況報文、十勝国 : 北海道殖民部 1898-1901
北海道殖民地選定報文 : 北海道庁 1891
南富良野町・新得町・清水町・帯広市 各村史・町史・市史
北海道浪漫鉄道 (ノンフィクション小説): 田村喜子 1986

[Data] NikonF2A+AiNikkor105mm/F2.5 1/500sec.@f5.6 NikonY52filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopCC on Mac.


 
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