"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

礼文 (室蘭本線) 1996

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稲作の風景と云うのは日本の鉄道景観の主要な一部に違いなく、それは近代の植民地たる北海道とて例外ではない。
道南から道央へと北上する鉄道の沿線は稲作地帯として良く、函館本線なら桔梗から七飯、渡島大野へ続く函館(大野)平野、落部に野田生の扇状地、黒松内の先で一瞬垣間見る朱太川の流域、熱郛の周辺、目名から蘭越、昆布への尻別川流域、岩内平野最奥の小沢付近、銀山から望む余市川の谷底平野、然別から仁木、余市の平野と、次から次に水田の車窓が連続する。山線と通称される区間でも、山間の谷間は水田なのである。
道内稲作の中心地域とすれば、銭函で達して深川まで続く広大な石狩低地に神居古潭を越えた上川盆地となろうが、例えば蘭越町でも1870haの水田に248戸の米作農家を擁して、2014年度なら10400トンの生産実績があり、それは大野平野の北斗市に七飯町を合わせたものより大きい。
室蘭本線も、太平洋岸を進む室蘭から苫小牧の区間には皆無なのだが、大築堤で礼文へと下る礼文華川流域、車窓からは見えぬけれど小鉾岸川の谷に、洞爺から北入江信号場への山側緩斜面、稀府の鉄道林の向こう側などには小規模ながら水田が所在し、長和付近の長流川扇状地にはまとまった田園風景が広がる。そして、追分から先の長沼低地は石狩低地へと続く穀倉地帯である。

上野からの夜行列車は、東北線を北上するにしろ奥羽線経由にしろ夜の明けての車窓には延々と水田風景の続き、青函を渡ってまでそれもなかろうと思っていたものだから、函館山線の平野部や札幌以北区間に立った覚えは無く、かつてには稲作とは無縁の道北や道東ばかりを目指していた。1988年に札幌までの本州直通寝台列車群が走り始め、足は再びに道南に向いて、初めて北海道の水田の風景を画角にしたのだった。

噴火湾岸から礼文華川沿いに続く緩やかな傾斜地は、地形学上には河岸段丘だと云う。川筋の両岸に段丘崖の見当たらず谷底平野然としているのだが、ここでは海面の低下した最終氷期に生成された段丘が後氷期の海面上昇にて緩やかとなった水流に土砂の堆積した結果らしい。段丘面は埋没しているのである。沖積平野同然だからなのか、そこには水田が開かれた。室蘭線の線路は内地の生活者にも違和感の無い日本的風景を走る。
写真は、礼文華山トンネルからの大きな盛土築堤を駆け下りる9009列車<夢空間北海道>。
次世代寝台列車向け試作車3両とオロネ25 500番台に続くのは、スハネ25 700番台の2両にオハネ24 700番台。ともに博多<あさかぜ>廃止による余剰車の活用だった。画角の幾度もの既出はお詫びするほかないが、全て別の撮影セッションから選んでいる。

礼文の平野はそれの尽きるここにも水田が開かれる。築堤の向こうは稲の稔りの色である。
豊浦町の稲作は、隣接の小鉾岸川流域に、貫気別川の上流の一部でも行われるけれど、作付面積は41haに過ぎず、生産も210トン程度ではある。

[Data] NikonF4s+AiNikkor105mm/F1.8S 1/250sec@f2.8+1/2 NONfilter Ektachrome Professional E100SW [ISO160/0.5EVpush] Edit by PhotoshopCC on Mac.

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コメント

北の田園風景

先日訪ねた時は雪に埋もれていて分かりませんでしたが、
田んぼになっているとは知りませんでした。まるで内地のような田園風景。
カラフルな編成には驚きますが、こんな時代もあったんですね。

  • 2015/07/25(土) 11:11:01 |
  • URL |
  • 風太郎 #ORZvdv76
  • [ 編集 ]

Re: 北の田園風景

内地からの移民たちは、それが何故の移住者であっても、いつの時代の移住者であっても、
水が得られて、地形が土壌が相応しければ、まずはコメを作ろうとしたのでしょうね。
勿論、栽培法の研鑽や品種改良の努力は続けられたにせよ、気候の許す限りに
稲作の北限は北上して、羽幌線北部など水田と北アイルランドのような牧草地が隣接する
国籍不明の車窓を産み出すに至ったのでしょう。ここ、礼文の平野など内地そのものの景観です。

予定臨の9009とは、本来に<カートレイン>用に引かれたスジでしで、速度種別の特通客F2は
このような北斗星系統には物足りない運転でした。機関車は重連じゃありませんし。
長万部で定期の3列車を退避した上に、札幌ビール庭園では<エアポート>にも線路を譲って
いたのです。
快速(普通列車に含まれます)を退避する特急など、実に希有な事例でした。

  • 2015/07/25(土) 14:04:06 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

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