"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

黄金 (室蘭本線) 1978

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木骨に鉄骨のレンガ構造や石造り、はたまた導入されて間もないコンクリート建築など幾多の例外のあるにせよ、開業以来に鉄道駅舎の原型は日本家屋に従った土壁に木造であり、古くは外壁仕上げの全てを板張とした質素な建築であった。構造材としての土壁も省略して内壁も板張とした例も数多在ったろう。
それは鉄道の創業期に建設を主導した技術者達の路盤や隧道、橋梁など半永久構造物に比重を置き、いずれ改築を要する駅舎は簡素な建築とした方針に依っていたのである。背景には資金的に駅舎などの建築物に十分な投資の出来なかったこともあった。
けれど、幾多の変遷を経て鉄道の監督・運営機構が鉄道院に一本化される時代となって、駅はその機能に標準的設計も固定し、地域のランドマークとも集客拠点としても理解されれば、主要駅や都市代表駅などに意匠を凝らした欧風様式の登場し、一般の小駅にも頑丈な漆喰壁などが併用されるようになる。木造小屋の延長然とした造りからは、或る程度の耐用年数の考慮され始めたゆえであり、当時に建築水準の上がっていた一般家屋に揃えられたとも云えよう。建築史には疎いのだが、それは高価な上に調合にノウハウを要した漆喰壁に、建材として調合漆喰の商品化も後押ししたのではないかと思う。
総板張による駅舎の終末は鉄道省成立期の1920年代のことで、その半ばを境に新築事例は無くなって往く。道内では、当時に建設の進められた天塩線(現宗谷本線音威子府以北)に渚滑線、相生線、そして長輪東線(現室蘭本線東室蘭-伊達紋別間)の例が最後であった。

1925年8月20日に東室蘭(当時に東輪西)から伊達紋別までを開業した長輪東線上では、黄金に稀府が該当して、資料の見つからなかったのだが1957年の改築前の本輪西も同様だったと推定する。道内における最後の総板張での新築駅舎群であった。設計に施工も一括して共通に行われたものと思われ、これらには下見板張にも腰板だけは羽目板張とした例の多い中で全外壁仕上げに下見板張の採用が特徴的であった。
余談ながら、1944年10月1日に信号場として開設の豊住の、その際に建築されたと思われる本屋も再びに総下見板張りであった。但し、これは物資不足の戦時下での例外である。

北海道南部の比較的温暖な気候である噴火湾北岸は、早い時期に開拓入植の進展した地域である。けれども、ずっと時代の下った1947年に米軍が撮影した空中写真に見ても、当時の伊達町東端にあたる黄金蕊駅周辺は、鉄道官舎の目立つ他は集落の体を成していない寒村に見える。内陸側も農地の広がる中に僅かばかりの農家が散在するのみである。
とは云え、入植地に駅の開業すれば農産物の安定的出荷や生活物資の到着に機能したには違いなく、多くの駅員の詰めたであろう駅本屋は、まもなくに鉄道省工務局が通達することになる「小停車場本屋標準図」(1930年10月6日工達第875号)に示された、床面積200平方メートル、間口20メートルの「四號型」を先取りするような幹線上の小駅らしい規模だった。ここに始めて降りた1970年代半ばには鉄道弘済会の売店も開かれていたから待合室も広かったと覚えている。

人気の無い静かな海辺を駆け抜けて往くのは、旭川と釧路への3D<おおぞら3号>。キロ80の次位にキシ80の無いのは旭川編成である。1977年8月7日に噴火した有珠山は、未だに噴煙を上げていた。
非日常の日常を撮りたいなどと戯言を申し立てていた頃である。テーマに選んだ被写体が漁師小屋(船番屋)と云うのが失敗だったのだろう。道内の海沿いをあちらこちらと彷徨いても、結局のところ思うような写真は撮れなかった。

[Data] NikonF2A+AiNikkor28mm/F2.8 1/250sec@f8 O56filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopLR5 on Mac.

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コメント

>>非日常の日常を撮りたいなどと戯言を申し立てていた頃である。テーマに選んだ被写体が漁師小屋(船番屋)と云うのが失敗だったのだろう。道内の海沿いをあちらこちらと彷徨いても、結局のところ思うような写真は撮れなかった。

いえいえ、素敵なテーマと写真です。
人の暮らしが写り込んでいるこんな構図、いつも感心させられております。
1978年、有珠山も貴重な記録ですよね。

  • 2015/02/11(水) 19:22:25 |
  • URL |
  • mono #PU0yJTno
  • [ 編集 ]

Re: タイトルなし

monoさん、いつもありがとうございます。
お言葉、恐縮の限り。
今にして思えば、技術も未熟で視点も定まらないと云うに、随分と生意気なことを考えていたものです。

  • 2015/02/12(木) 00:29:13 |
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  • Wonder+Graphics #-
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