"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

倶知安 (函館本線) 1978

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鉄道における除雪作業はおおまかに本線除雪と構内除雪に大別される。当然のことだが、両者は全くに異なる作業である。
1955年当時の札幌鉄道管理局管内を例に採れば、およそ3200万立方メートルと推定された年間の総除雪量に対して本線が2400万立方メートル、構内は25パーセントの800万立方メートルなのだが、その人力による作業量と経費は本線除雪を遥かに上回ったのである。
中間小停車場であれ、構内には本線や側線の線路ばかりでなく、本屋に旅客上屋、貨物積卸施設に保管施設から用品庫など付随建物に宿舎までが所在し、拠点ともなればそれらの規模の大きくなる上に構内も広く、各現業機関の建物も所在して、機関区や客車区などのあろうものなら除雪すべき巨大な屋根が加わった。
構内除雪の本線除雪との最大の相違は、多くの場合で雪捨作業をともなうところにある。構内とは云え線路除雪なら分岐器の中掻など人の手に依らざるを得ない場面はあるにせよ、本線同様にラッセル式やジョルダン式の雪搔車が使え、集雪にも掻寄式やジョルダン式、場合によってはブルドーザが用いられたが、それの無蓋車を代用した雪捨車への積込に取卸には多大な人力を要したのである。勿論、積込みにはスクリュウ式の搔込ヘッドにベルトコンベヤの付帯したようなスノウローダなる機械も持込まれ、無蓋車床面に敷いた巨大なゴム製チューブに圧縮空気を送込んで膨らませ、上に積込まれた雪を押しのける方式の取卸も考案されてはいたものの(後に「空気袋式雪捨装置」と命名された)、主力は人力であった。
線路外では貨物積卸場などならブルドーザやローダなどの道路建設機械が流用されたが、旅客・貨物上屋を含む構内建築物の屋根やその周囲は、機関区の大屋根であれ人力に頼らざるを得ず、これにも雪捨が付帯した。
札鉄局管内では人力除雪の88パーセントは構内除雪であり、さらにその半分は雪捨作業に関わるとされていた。例を挙げれば、15両組成の雪捨編成の運行には約60人の作業者を要したと云う。

この状況を劇的に改善するのが、この50年代にも既に青森や長岡で実証されていた流雪溝なのだが、道内への導入は、水利権の絡む水源に排水先の確保も然り乍ら、水路凍結の不安に雪と水を分離して排出する流末処理の問題など寒冷地特有の事情から進まず、海水を使用する小樽築港と水源が至近に得られた夕張と胆振線支線の脇方のみに留まっていた。
しかしながら、冬毎の膨大な作業量に慢性的人手不足の解消は喫緊の案件ともなり、1961年度予算にて倶知安と滝川構内への整備が決定されたのだった。
滝川の設備は1960年3月から稼働した北海道電力滝川火力発電所の温排水の利用により水温18度を確保して上記の諸問題を回避したけれど、倶知安の河川から導水管を敷設しての取水は道内で最初の事例となっていた。
1961年12月に完成し稼働を開始したそれは、1.5キロほど離れた硫黄川よりの導水を水深30センチに秒速90センチの流速にて通水する勾配1.8パーセントの設計であった。
流速の確保には凍結や投入雪の滞留も無く、順調に稼働した模様であるが、寒冷に融解しきれずシャーベット状となる排水処理には課題も残されたようである。流雪溝は1967年度に岩見沢の広大な構内にも設備されるが、流末処理の問題は1969年度の苗穂構内への設備に際して実用化された定置式スノーメルターの開発を待たねばならなかった。これは流末に設置の融雪槽から網目のベルトコンベヤにて雪のみを分離し温熱にて融雪する仕組みであった。

=参考資料=
除雪作業と除雪機械 : 札幌鉄道管理局施設部 田中行男(交通技術通巻118号/1956年4月号に掲載)

倶知安の雪は深い。年間累計降雪量の1954年からの記録は10メートルから15メートルで推移し、最新の10年間平均も13.1メートルである。(札幌管区気象台データによる)
北4線踏切への取付け道路は冬季に除雪されず、線路伝いに達するほか無かった。朝の内には見えていた真狩山も層雲の彼方となれば周囲の丘を目指したのだけれど、深々とした新雪には数メートルを上るのに30分近くを要したと覚えている。
峠を下って来たのは104列車<ニセコ1号>。思いのほか速度の遅くてブラしそこねのカットでもある。
お陰で機関車に続く車両を確認出来るのだが、次位が根室から継送の[北東航21]のオユ10、冷房化直後の姿である。その後に札幌-隅田川間護送便[札航1]のスユ13と続く。この上り<ニセコ>に荷物車の組成は無く、謂わば本州行きのメイルトレインでもあった。

[Data] NikonF2A+AiNikkor105mm/F2.5 1/30sec@f11 Y48filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopLR5 on Mac.

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