"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

銭函 (函館本線) 1978

zenibako_09-Edit.jpg

旅にはコンテの幾つかを立て、それぞれに従ったロケーションを選んで出向いた。コンテには気象条件も指定していたから、大まかなスケジュールの確保こそすれ後は天候次第である。かつてなら新聞朝刊の予想天気図にラジオの天気予報を頼りに翌日以降の行動を決めていた。降雪に積雪と云う重要なファクタの在る冬場は尚更であった。
以前に鬼鹿 (羽幌線) 1981 に書いたように、予想最高気温の動向を気にしていたことは そのひとつだし、勿論に降雪の予報には注意を払っていた。黒々とした針葉樹林よりは雪を纏った姿の方が相応しいし、雪を蹴立てる列車の必要なら降雪中かその直後でなければならない。逆に雪面へ落ちる影や風紋がテーマなら晴天に限った。天候次第でコンテとそれの実現出来そうな位置を当て嵌めてスケジュールを決めていたのである。早い日没には夕刻から移動も始められたゆえ、例えば釧路や函館周辺からでも翌朝に稚内へ達するような移動も可能であった。

とは云え、細かいメッシュ単位に予報のなされる時代では無く、現地に達して裏切られるのも多々ではあったけれど、その経験の積み重ねには天気図から一定の地域内の天候変化を読み取れるようにはなっていた。
日本海を東進して来た低気圧が北海道の何処を通過するか、オホーツク海に抜けるか、太平洋上へ去るかによる違いなどである。例えば羽幌線で風雪に荒れる海を背景にするなら、石狩湾あたりに接近途上が最適だった。これが宗谷北部を横断してオホーツクに抜けて停滞すると最悪で、その沿岸は確実に猛吹雪に襲われた。太平洋へと抜けると今度は興浜北線の斜内山道が猛吹雪である。けれど、倶知安あたりで遠景を捉える画角ならば、その方が「程良い」降雪に出会えたものだった。厚岸湾で降雪を見ようとすれば、東からやって来るのでは役に立たず、太平洋岸を北上する低気圧の接近を待つことになった。

湾曲した石狩湾岸一帯は、低気圧がどのコースを辿ろうがそれの通過した後には北から西寄りの強風を受け、小樽に暮らした時代に坂上の借家が風速に軋むのを幾度も体験していた。函館本線が幹線使命を果たした頃、運転抑止要因は山線区間の雪害よりも小樽から銭函への海岸線区間での暴風雪による信号確認不良が凌いだと覚えている。
発達した低気圧の通過にて全道が荒れると予報されていたこの日、想定していた撮影は全て諦め、遠景を撮ることの無い銭函上り方海岸線に建ち並ぶ漁師小屋区間へと歩いたのだが、凄まじい吹雪には数カットを押さえて引揚げざるを得なかった。風雪は戻った市街地にも吹き荒れて道を歩く人影は見えない。
海上からの吹雪のまともに吹き付ける駅近くの銭函西部踏切を6540Dが過ぎて往く。中長距離列車が遅延する中で、札幌からのこの列車は定時だった。
この辺り、今では様変わりして面影すら無い。
猛吹雪に備えては、パーカのフードを被っても露出する頬を覆うタオルに鼻当ての付いた山岳用ゴーグルを用意していた。こうでもしないと飛礫のような降雪の風上に顔を向けてはいられなかった。

[Data] NikonF2A+AiNikkor50mm/F1.8 1/125sec@f4 Y48filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopLR5 on Mac.

関連記事

コメント

こんばんは。
私はここまでの雪、吹雪を経験したことがありません。経験がないが故に、お写真に旅への憧憬を重ねています。
今ではどのような風景になっているか、ここの列車に乗ったときの車窓を思い出しています。
どこまで行く列車でしょうか。
海際の風の強さが天候を一層厳しくしたのか、小樽を超えて山に入れば更に深い雪に覆われていたのか、国鉄時代の気動車の走る姿を想像しています。
お写真と記事、楽しませて頂きました。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/

  • 2014/11/20(木) 23:46:51 |
  • URL |
  • 風旅記 #O7xVy9HA
  • [ 編集 ]

Re: タイトルなし

こんにちは、風旅記さん。
レスポンスの遅くなりまして申し訳ありません。

山線区間、例えば銀山あたりでも吹雪模様に出会いましたが、それは横殴りの降雪と云った方が正しいかもしれません。
対して、この区間や羽幌線など日本海岸のそれは正に暴風雪だったと記憶します。
山間の吹雪が降雪が強風に煽られる地吹雪まじりなら、沿岸のは暴風に雪の飛礫が加わったとでも云えば良いのでしょうか。
その風の息に列車の通り過ぎるタイミングを待つことになります。

  • 2014/11/23(日) 10:56:01 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://northernrailways.blog.fc2.com/tb.php/747-c942e93b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad