"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

音別 (根室本線) 2000

ombetsu_09-Edit.jpg

夜行急行を宿代わりに旅した頃、銭湯の存在は欠かせなかった。ひたすらストイックに写真を撮っていた時代と重なり、旅中に駅前を離れるのはこの時くらいだったから入浴道具だけを持っての街歩きは楽しみでもあった。
インターネットも当然にGoogleMapも無い当時、現地の役場やら警察、駅などに電話で問い合わせたり、当地で聞き覚えたりで作成した銭湯リストが手元に残るが、道内では大抵の街なら必ずと云って良い程に一軒や二軒は営業していた。それが当たり前と思っていたのだが、内地で同じような旅を試みて、どうしても銭湯の見つからぬ体験には北海道は特別と知るのだった。

この当時の資料が見つからないので総務省による「2009年度経済センサス」のデータで代替してしまうが、北海道の一般公衆浴場の370事業所(軒)は東京都、大阪府に次ぐ数であり、以下にも神奈川、兵庫、京都、愛知と人口集積地帯の続く中に異例である。面積の広く人口もそれなりに多い事情からと思えば、人口10万人あたりの事業所数(軒数)を採っても、その6.72軒は東京を上回り、神奈川や愛知、兵庫を遥かに引き離している。公衆浴場の廃業の相次いだ近年ですらこの数字であるから、1980年前後の実体験は十分裏付けられるものと思う。ちなみに、銭湯探しに苦労した地域のひとつ島根県は、総数僅か7軒、10万人あたり0.98軒とある。
同じく総務省による2008年の「住宅・土地統計調査」で北海道での一般住宅(当然に集合住宅を含む)の浴室保有率は97.4パーセントに達して全国平均を上回るのだが、設備しない住宅の絶対数が58,800戸を数え、370軒の銭湯が存続する所以なのだろう。

思い出す銭湯は幾つもあり、やはり夜行の始発駅周辺が多いけれども、写真の鉄道屋なので同じような旅をしていた放浪型旅行者の往かないようなところでもひと風呂浴びていた。稚内なら南稚内の方からが至近だった「東湯」、これも留辺蘂駅から近かった国道沿いの「松の湯」、遠軽なら国鉄物資部の先の「亀の湯」、ここは鉄道職員の利用も多かった。
倶知安駅の「旭湯」からの帰り道、蛾の大群に襲われたことは前に書いている。(→ 倶知安 (函館本線) 1982) 駅前の国道を街外れあたりまで進んだ長万部の「栄湯」は山線蒸機の頃に利用した向きも多かろう。

サクペト(尺別)原野を往くのは5481列車。
西帯広の新日石油槽所からの返空列車だが、この日の財源はそれの繁忙期と云うのに一両のみだった。機関車だけは回送機を伴った重連である。情けない組成だけれど、こんな列車もある。
この音別にも市街地国道沿いに「桜湯」が所在して、駅への帰り道途上のそこには機材そのままに直行していた。冬の季節なら夕方の上り高速貨物は撮れないので、15時の営業開始を良いことに早い時間から長湯させてもらったものだった。木造モルタルの商店建築の古い建物で、狭いと云って良い浴場だが、クラシックなタイル貼りの趣は結構お気に入りの湯屋であった。
湯上がりに駅前の蕎麦屋(兼食堂)で腹ごしらえすれば、後は釧路へ夜行を迎えに往くだけで済んだ。

[Data] NikonF5+AiNikkor105mm/F1.8S  1/250sec.@f5.6+2/3 C-PL filter  Ektachrome Professional E100SW [ISO160 / 0.5EV push]  Edit by PhotoshopLR5 on Mac.

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コメント

銭湯

尺別に向う大カーブですよね。低い位置から撮るとまた違う趣が。

小学生の頃、林野庁の官舎が近くにあり、そこに住む官僚の息子が上川辺りにも住んだことがあって、
冬の夜、銭湯の帰りに髪の毛が凍りつくというような話をしていたのを思い出しました。
公務員官舎ですら内湯が無かったのなら銭湯が繁盛するはずです。
ちなみに風太郎は3~4日おきに旅館に泊まる以外は風呂には入りませんでした。
夏など相当臭かったと思います。(笑)

  • 2014/11/25(火) 21:29:09 |
  • URL |
  • 風太郎 #ORZvdv76
  • [ 編集 ]

Re: 銭湯

夏場こそ一風呂浴びたいのに陽の永いものですから、いつまでも写真していて、
ついつい銭湯に行きそびれが多かったですね。
仕方なく、駅ホームの洗面台(いつの間にか無くなりましたね)で洗髪までしたこと有ります。
70年代の旅は本当に貧乏旅行で夜行に駅寝の連続でしたから、銭湯の存在は有り難かったのです。
湯上がりには、勿論腰に手を組んで牛乳飲みましたよ。

この丘陵の張出しからの遠望は、斜面を下った位置の方が画角に広がりの出て、好きです。

  • 2014/11/25(火) 23:26:56 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

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