"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

春立 (日高本線) 1970

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国有鉄道線における無人駅の始まりは承知していない。けれど、旅客運送にかかわる規則が体系的にまとめられた最初の事例である1920年の「国有鉄道旅客及荷物運送規則」(1920年10月25日鉄道省告示第99号)を受けて同年12月に制定の「国有鉄道旅客及荷物運送細則」の第17条には「車掌携帯用片道乗車券」の規定を置いて、条文に「駅員無配置駅」の文言が見られるから、この時点で少数例にせよ無人駅の存在が伺われる。
当時の文書では「定員を置かない」と表現される要員無配置駅の明確に現れるのは、1929年からのガソリンカー運転に際して営業戦略上に置かれた通称のガソリンカー駅(後に気動車駅と呼び替えられる)である。これらは公示に依らず鉄道局長の公告にて設置の事例も多いのだが、公示された例を官報に拾えば(一例として東北線仙台付近)、「旅客ニ限リ取扱ヲ為ス」との記載にそれと知れる。その前段には着発する旅客扱いの区間も限定されており、車掌による車内発券に配慮したものであろう。それらガソリンカー駅として開業の中にも、小荷物に手荷物を扱った要員配置駅の例もあって(一例として室蘭線母恋駅)、無人駅とは極めて特殊な例外だったと知れる。
その例外が一挙に増加するのは戦時下の『陸運統制令』(1940年2月1日勅令第37号/1941年11月15日勅令第970号にて改正)に基づく私設鉄道の買収の結果であった。そこには簡素な乗降場だけと云った多くの無人駅が含まれていたのである。また、買収私鉄4社の路線にて構成の飯田線にはそれに加えて会社の直営しなかった20駅が存在し、これをそのまま引継いだ国有鉄道には、定員外のこれらが業務委託駅の最初の事例となっていた。

戦後1949年に発足した日本国有鉄道が早速に直面した問題のひとつが、全国に数多存在した非採算線区の運営であり、対策として選択されたのが線区別経営だったことは、内地版の 大湊運転区 (大湊線) 1973(2014年7月20付記事) に書いた。
それの具体策として、1950年代から60年代に続々と設けられた管理所や運輸区、管理長制度下での経営改善とは、とどのつまり線区運営の合理化・簡素化であったから当然に管轄駅の運営形態に踏み込むこととなった。ここで行われたのは要員の削減を意図した諸施策であり、駅長を廃しての管理駅化、特殊勤務の拡大など勤務体制の見直し、夜間運転のなければ当直勤務の廃止、駅作業の整理、一部業務の外注化などは勿論のこと、究極には閉塞扱いを廃しての要員引揚げ、即ち要員無配置化であった。この後に続く駅からの要員退去、停車場の無人化はここに始まったのである。国鉄はこれを部内でも対外的にも「停留所化」と呼んだことは 稀府 (室蘭本線) 2011 に書いている。
しかしながら、閑散線区と云えど、地域の生活や経済活動は駅の所在を前提に営まれていた時代であり、外部委託による営業フロントの維持は望まれたのだが、実現したのは一部に留まった。国鉄が1954年9月に告示した「乗車券類委託販売規程」(1954年9月9日日本国有鉄道公示第262号)に「乗車券類委託販売細則」の総裁達ではそれの認められず、施行には駅業務を一括した業務委託を要したからである。その実際は運輸帳票類の作成や報告等事務手続きの煩雑に、決して閑散線区小駅での受託の容易いものでは無く、これは線区別経営による合理化推進の障害ともなっていた。
なお、本記事には先の 初田牛 (根室本線) 1971の記事もご参照頂きたい。

(この項 初山別 (羽幌線) 1982 につづく)

道内における線区別経営は、瀬棚線・胆振線・日高/富内線・興浜北線・同南線・渚滑線・相生線・士幌線・広尾線・根北線・標津線の各線区で実行された。
日高本線と富内線を運営した日高線管理所は、1959年11月1日に静内駅構内に設けられ、200キロを越える管轄営業キロに、職員定員の592名(発足時)は線区別経営体として全国でも有数の規模であった。ここでも上記のごとき駅運営の合理化は進められたのだが、当時に線区の置かれた環境から要員引揚げは3駅に留まり、共に閉塞扱いを廃した上で業務委託化されたので窓口の閉鎖駅は生じなかった。

写真は東静内への小さな峠越えに向かう1892列車。様似から静内への区間貨物だった。
春立は、この当時にも行違い設備を持った一般駅である。こじまりとした質素な駅舎は、1930年代に鉄道省により建設されたこの区間各駅に共通の設計であった。

[Data] NikonFphotomicFTN+AutoNikkor50mm/F2 1/500sec@f5.6 Y48 filter NeopanSSS Edit by PhotoshopLR4 on Mac.

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