"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

小沢 (函館本線) 1975

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小沢駅構内には特徴的な形態の旅客跨線橋が現存している。乗降場との昇降階段部屋根が跨線部より一段低いそれは、跨線部端より通路を階段とし、階段部の上部に踊り場を設置した設計による。
これの建築年は今のところ調べ得ていない。そこには「明治」と打ち出された金属製の建築物財産票(財産種別は旅客上屋とある)が打ち付けられているのだが、既に「年月」の刻印は読み取ることが出来ない。もっとも、北海道鉄道(初代)の開設であるこの停車場では、その当時より当該跨線橋の存在したとしても、刻まれたのは1907年7月1日付での買収以降の「年月」である。
古い写真や絵葉書を閲覧すると、同じ北海道鉄道出自の八雲に倶知安の他、帯広、岩見沢、苫小牧、栗山にも同形態の跨線橋の存在が見て取れる。この内、岩見沢での1898年、帯広の1909年、苫小牧の1911年の設置が鐵道院年報等で明らかであり、八雲も二代目駅舎への改築に合わせてならば1915年となる。北海道炭礦鉄道運営当時の岩見沢を除き、いずれも鐵道院北海道鉄道管理局による建築である。
おそらくは小沢も同時期と推定され、最も可能性として考えられるのは1912年11月1日の岩内軽便線の接続時点だろう。その開業は鐵道院年報に只の一行が費やされるだけなのだけれど、本線本屋側への乗入れには乗降場の増設は勿論、本屋の改築も伴ったかも知れない。翌年に国富停車場が開設されて国富鉱山への専用線が分岐すれば、ここからの貨車の煩雑な出入りに跨線橋を要したのだろう。
ところで、その1912年を考えれば、1898年の「鉄道建築定規(鉄道工事設計参考図面-停車場之図)」に、1900年の「停車場内建築定規」の共に鉄道局通達により停車場建築の標準化の進展した時期にあたり、1912年11月に設置の野付牛(現北見)の跨線橋は、確かに1909年12月達第1044号の「停車場内跨線橋定規」に示された図面に準拠したと思われるのだが、小沢のごとき設計はそれには見当たらないのである。1898年の北海道炭礦鉄道による岩見沢への設置に端を発したものとすれば、これは北海道の私設鉄道に流れを汲む例外的形態となるのだろうか。

永年の風雪に耐えたその外観の、絵葉書に示された往年の八雲や倶知安の姿との比較では、跨線部に架設の鈑桁や階段部の屋根まで延長された一部の鉄骨は後年の、おそらくは戦後の補強・改修と見える。さらに踏み込めば、木造の上部構造とて腐食には更新の行われたことだろう。かつてには木製だった窓戸(写真のごとく)も然りである。従って、1912年の設置と仮定しても100年を経て残る部材は一部に過ぎないだろうが、他駅のそれが全て失われた現在では往時の姿を伝える希有な存在に違いはない。歴史的建造物としての保存に十分な価値がある。

外の強風を避けて列車を待つ親子。上りへの乗車は倶知安までの一駅だろうか。
踊り場からそっとスナップさせてもらった。

[Data] NikonF2A+AiNikkor50mm/F1.8 1/60sec@f5.6 Y48 Filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopLR5 on Mac.

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コメント

こんにちは。
小沢駅の跨線橋、私もこの駅を訪れた際に渡りました。倶知安行の列車から降り、この跨線橋を渡りながら、風雪の中、どれほどの時間を経たのだろうと考えた記憶があります。
駅舎側の階段を上がった壁には、「職員一同」と書かれた古い油絵がかけてあった記憶があります。
トンネル餅を食べながら、ここが岩内線の分岐駅としても機能していた時代を想像していました。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/

  • 2014/09/24(水) 11:45:20 |
  • URL |
  • 風旅記 #O7xVy9HA
  • [ 編集 ]

Re: タイトルなし

こんばんは、風旅記さん。

「油絵」ですか。それって、この当時には待合室に掛けてあったような気がします。
云われて、何となく思い出すくらいですから、記憶も定かでありませんが。
あのマンサード屋根の本屋を解体の際に移したとすれば、同じものでしょう。
ここには、山線優等列車の消滅以降には1996年に一度だけ降りているのですが、どうにも記憶がありません。

  • 2014/09/25(木) 01:08:14 |
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  • Wonder+Graphics #-
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