"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

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礼文 (室蘭本線) 1990

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去る2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震による津波は北海道内浦湾(噴火湾)岸にも到達し、豊浦町の本町地区では同日19時05分に最大波高3.4メートル(札幌管区気象台速報値)を記録した。人命の失われこそしなかったものの、豊浦漁港に面した、いぶり噴火湾漁業協同組合豊浦支所や一般住宅36戸が床上床下浸水し、ホタテ養殖施設には約30億円に上る損害を与えた。1960年のチリ地震津波の最大波高2.06メートル(北海道庁公式値)を上回り、近年では最大の津波であったのだが、噴火湾岸は過去に二度、これとは比較にならない程の大津波に襲われている。どちらも地震では無く、その湾名由来の火山噴火にてもたらされたのが特徴的である。

ひとつは歴史時代を遥かに遡る、およそ7000年から8000年前とされる有珠成層火山の大崩落、今に云う「善光寺岩屑なだれ」により引き起こされた大津波である。これによる堆積物が駒ケ岳周辺を始め多くの内陸地点で見つかり、その規模が推定されている。
対して、その駒ケ岳の1640年の大噴火による大津波は、全て後年の聞き書きながら「内浦嶽発火動山海蒼海水溢人夷溺死者甚多人里破壊船百餘隻 」(松前年歴捷径 1799年)、「ウスノ善光寺如来堂ノ后口山マデツナミ上レリ」(雑羅記録 年不明)、「十三日午後ヨリ内浦ヨリ東夷地マテ津波商船夷舶夷船人数七百餘人溺死」(福山舊記 1834年 )、「山峯焚頽而堕于海木 石飛散,海嘯大起」(日本災異志 1894年)など多くに記録された。
標高1700メートル程と推定された成層火山だった内浦嶽(当時和人はそう呼称した)は、同年7月31日(旧暦6月13日)のプリニー式大噴火の直前に山頂部の500メートルを吹き飛ばす水蒸気爆発を起こし、これによる岩屑なだれは東および南斜面を流下して噴火湾に没入し大津波を生じさせたのである。
近年の研究(※)によれば、この津波は土砂の海面突入後20分で室蘭母恋半島南岸に、40分後までには噴火湾全岸に到達し、堆積物の発掘調査と堆積物没入量と速度から計算される遡上標高は、森町鷲ノ木で6.8メートル、伊達市アルトリ岬で8.3メートル、伊達市黄金で10メートルと推定され、それは前記の「雑羅記録」から伺える善光寺如来堂の標高8.5メートルを裏付ける結果となっている。それは発掘地点の地形から最低遡上高であり、総じて湾岸には6メートルから11メートルを越える波高の津波が押し寄せたとされる。それは先の災禍での大船渡や気仙沼、久慈に匹敵する。海溝性地震によるそれと異なる短い波長には、まさに壁として来襲したに違いない。

700人を越える溺死者とは、全てがこの当時に湾岸に暮らした先住民族アイヌである。文字を持たなかった彼らは、その被害に教訓を口碑として残した。それを採取した人類学者-吉田巖は1915年に人類学雑誌に発表した「アイヌの天地山水説話」にこう書いている。
「内浦湾沿岸のアイヌ間にも昔大海嘯のあつたと衆口一致してある。膽娠元室蘭はそのため寳器什物遠く對岸の禮文華エコリの岬に漾ひ附きてエコリの名を留めオシャマンベヌプリ(長万部山)、コンポヌプリ(昆布岳)は、鰈(シャマンベ)、昆布(コンポ)がその山に打揚げられたからの命名といふ。斯く海岸からかけ離れた山にまで海に因んだ命名を在するのは必ずしも海嘯の結果とのみ解することはできぬがその多くは海嘯に因むようである。」
津波によって長万部岳や昆布岳に鰈や昆布打ち揚げられるとはあり得ない話だけれど、その遡上の高さや内陸深くまで達した浸水の様子が伝承されたものであろう。
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(※) 北海道駒ヶ岳噴火津波(1640年)の波高分布について : 西村裕一・宮地直道 (火山第43巻第4号 1998年)

礼文華浜を背景に峠への築堤へと向かうのは150列車。萩野からのロール紙輸送のワキ5000編成にコンテナ車を併結編成した運転だった。
津波は、この狭い開口部一杯に押し寄せ、推定波高からは、海岸線より2.7キロ余り離れた現在の鉄道築堤付近にまで遡上したと思われる。画角に写る平野部は勿論全てが水没域となる。

[Data] NikonF4s+AiNikkor105mm/F1.8S 1/500sec@f5.6 Fuji SC48filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopLR5 on Mac.

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