"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

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有珠-長和 (室蘭本線) 2012

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ひと昔もふた昔も前のことである。一目でそれとわかる重たそうな機材を列車内に持込んでいると、たまたまの合席者に良く声をかけられた。出で立ちからだろうが、山岳写真か、さもなくば道東の丹頂鶴の撮影者と見えるらしく、蒸機終焉時のブーム後にも関わらず鉄道が対象と答えると一様に驚かれたものだった。
それを切っ掛けに話の弾んだ、自身も写真を撮っていると云う相手から尋ねられたことがある。彼の疑問は、「走って来る汽車にどうやってピントを合わせるのか」であった。鉄道を撮ろうと一眼レフのファインダを覗いた瞬間に知り得て、以来にフレイミングと一体化して無意識な被写体のいない合焦の動作は、なるほど家族写真や風景を撮る限りには無縁のことに違いない。確かに、それを「置きピン」と呼ぶとはかなり後になって知った。1960年代の写真技術本にその用語は書かれていなかったと思う。

動線の予測可能なればこその置きピンに、その焦点面位置でのシングルシュートの基本的お作法は1966年以来に変えていないし、変えようも無い。
けれど、これのかなり厳しい場面の多々あるのも確かで、薄明や薄暮の時間帯に長玉で列車を引きつけようとすれば、開放の絞りに被写界深度の2メートル足らずは珍しく無く、その間を時速80キロの列車ならコンマ1秒で走り抜けるのである。
画角内での見かけ上の移動距離の小さければ、その一瞬はファインダに見えるしシュートの手応えも得られるものの、それの困難が予想されるコンテには、余計な重量と思いながらも仕事用に必需品だったモータードライヴを持ち出していた。F2の当時、廉価版のMD-1での秒速5コマ、F3のMD-4での6コマには狙ってのシングルシュートと微妙にタイミングのズレを感ずることも在ったが、何とか保険にはなっていた。
このような場面にはもうひとつの問題もあり、それは暗くてファインダにヤマの掴めないピントであった。これには、合焦させたい位置を、例えばレイルの繫ぎ目から何本目の枕木とファインダに確認し、そこにフラッシュライトを置きに行っては、その光にピントを合わせていた。ストロボ撮影前提の暗闇での人物へのピント合わせにライターの火を持たせたことの応用である。勿論、撮影前にそれは回収する。

日没までの快晴が予測されたこの日、8002列車はエントモ岬でと決めて柴田踏切に向かえば、数年振りのそこはススキの繁茂が著しく、定番の立ち位置からは線路が望めない有様だった。薄の原を黄金色へと傾くであろう日差しは季節の表現には相応しいとは云え、線路の見えないのは置きピン不能を意味する。フォーカスリングを回すと焦点面は薄の海を渡って往き、シューティングポイントにおよその見当はついても確認の仕様がないのである。
これにはディジタルの福音とそのカメラ機能に救われた。感度を上げて被写界深度を深く確保した上での秒速9コマという連写性能である。
勿論、フィルム撮影でも同じ手段を選ぶだろうが、増感に依る画質低下を覚悟せねばならない。

[Data] NikonD3s+AT-X300AF PRO 300mm/F2.8D 1/250sec@f9 C-PL filter ISO1600 W.B. 5560 Developed by CaptureOne5 Edit by PhotoshopCC & PhotoshopLR5 on Mac.

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コメント

置きピン

「置きピン」は確かに鉄道写真系のハウツー本でも見ませんでしたね。
ピンを置いた場所にジャストのタイミングででレリーズする必要もある訳ですし、
熟練者の高度な裏ワザとしてかえって陽が当たらなかったのでしょうか。

私の写真はご存じの通り高速列車をアップ気味に撮る事はほとんど無かったため、
技法としては知っていても実際に使った事はありません。

改めて考えれば、ピンを置く際に車両の位置をはじめとする全ての構図を固めておく必要がある訳で、
私には到底真似できそうにありません。
ファインダーに列車を捉えてからもなお、レリーズポイントを迷うようなところがありますから。

  • 2014/07/25(金) 23:18:32 |
  • URL |
  • 風太郎 #ORZvdv76
  • [ 編集 ]

Re: 置きピン

一眼レフカメラを手にした40数年前から、画角の中で列車の先頭部を止める位置、
即ち、ピント位置と構図の決定は一体のもので、誰に教えられるで無く自然な操作でした。
色々撮って慣れて来た頃が、焦点位置には一番迷ったような気がします。

確かに広角系での引き絵ならピント位置等あまり気にしなくても良く、
それは分かっているのですが、なお一生懸命レイルに置きピンしてしまいます。

  • 2014/07/26(土) 18:51:29 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

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