"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

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中丿沢 (函館本線) 2009

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その昔には、どこの家でも備えていた家庭用品のひとつがハエタタキである。ずっと街中のマンション暮らしのせいか、1970年代からこの方に使ったことの無いこれを調べてみれば、その進化に驚かされた。商品名を「電撃ラケット」と称してネックに仕込んだバッテリィの電流をネットに流し、それに触れたハエに電気ショックを与えると云う、正に「電撃」ツールも存在するのだった。
使い方のお作法としては、空中を飛翔中のハエをネットに触れさせねばならないから、やはりそれを振り回して叩くことになるのだろう。勿論、旧来型の製品も売られていて、それ以外に変わり様の無い形態の昔ながらのハエタタキである。けれど、ヌメ革製の高級品などの存在には、やはり驚きもする。

まだまだ需要の残る本来のハエタタキに対して、1970年代を通じて消滅したのが、少なくても12線程度、多ければ100線以上の電線を装架していた通信線柱、その屹立した形状から転じた鉄道の「ハエタタキ」である。古い鉄道屋ならとっくにご承知だろうが、それを知らぬ世代も居られようから敢えて記せば、その時代までの鉄道景観に欠かせぬシーナリィであり(模型趣味の方など良く理解しておられよう)、写真の鉄道屋には重要な添景と知りつつも、往々にして画角の邪魔をする存在でもあった。
幹線・亜幹線系線区であれば、60から80線くらいなら当たり前に装架して線路沿いに延々とつづいていたこれは、偏に通信伝送技術が未発達だったが故の装備と云える。当然にアナログ信号であるから周波数の変調により多重伝送を実現していたものの、それでも1本のケーブルに乗せれる情報は限られたのである。
これに装架された通信線の主体を成したのは電話回線である。これは、運転や旅客、貨車操配、電力などの重要な指令元と指令先を直接に繋ぐ指令回線、運転上に停車場間を結ぶ運転専用線、保線区や電力区に信号通信区などが用いたそれぞれの保守専用線、交換機を通じた通常の電話回線、それを経由せず2駅間の閉塞作業などに用いられる端末同士を直接に繋いだ区間回線(通票閉塞器間を結んだ電鈴線もこれに含まれよう)、全国各地に置かれた電話交換所間を直接連絡した中継回線、駅間に置かれた搬送電話機の接続点と結ぶ搬送電話回線、無線電話機用の無線電話回線など、用途や通話先にて細かく設定され、また駅などの時計に信号を送る電気時計回線、警戒個所の風速計験測情報送信の風速計回線なども在り、それぞれが専用回線であった。
加えては電信回線である。これには印刷電信機(テレタイプ)に用いる印刷電信線、それに戦後には予備的存在ではあったが、モールス信号を用いる一般電信線、電話回線と同じく搬送電信機用の搬送電信回線、無線電信回線があった。
これだけが要求された回線に、ひと回線に回路の構成が実回路と呼ばれた電線2条を要する方式が採られたから、一つの回路を重信回路と利用した幻影回路方式を併用したとは云え、通信線はたちまちに数十本の単位となったのである。

通信技術の進歩は多重伝送を可能として、SHF回線通信網の整備や通信線の地下(側溝埋設)ケーブル化によりハエタタキは淘汰されるに至った。何より、1950年代後半から進展した交流電化区間では誘導障害により電信線は使用不能だったのである。現在では、道内に最新の海峡線区間はディジタル伝送にて空中には僅か3線が電化柱と通信線柱を兼用して装架されるのみであり、新得以遠に旧設備の残る石勝線区間も6線に過ぎない。けれど、そこにはハエタタキに替えて、そのまま電化柱に転用可能なコンクリートポールが連続して建植されて「往々にして画角の邪魔をする」ことには変わりが無い。

函館海線区間の山越と、この中丿沢の旧場内は、下り列車に対してではあるが通信線柱を画角外に排除出来る希少な位置である。中線の撤去されて棒線となり、上り線側から引きの在るすっきりとした画角の切れるところも共通している。ここへは、背景の植相に天空の質感の季節毎の変化に対して、立ち位置からの画角を細かに切り分ける必要の在って幾度も通うことになったのだけれど、未だに気に入ったカットは手にしていない。上下線間に雑草の繁茂して撮れない時期もあったからである。

澄んだ秋空を駆け抜けるのは1列車<北斗星>。
朝には線路東側の防雪林の影が落ちてしまうので、この列車には10月の半ばが限界になる。

[Data] NikonF5+AT-X300AF PRO 300mm/F2.8D 1/500sec@f4 C-PLfilter Ektachrome Professional E100GX [ISO160 / 0.5EV push] Edit by PhotoshopCC on Mac.

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