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"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

倶知安 (函館本線) 1984

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ニセコ (函館本線) 1983 から続く

鉄道省が1920年代後半に制作した「スキーは北海道へ」のポスターがイメイジ戦略に留まらなかったのは、1931年12月20日からジャパントゥリストビューローを通じて発売したスキー・スケートの季節遊覧券に、上信越や奥羽方面と共に十勝岳、洞爺湖、小澤、倶知安、比羅夫、昆布が回遊地に加えらたことにも明らかであった。これは1933年夏季(5月1日から10月末日に発売)より設定の全道を対象とした北海道遊覧券(発売名称-北海道巡り乗車券)に先駆けてのことであり、1935年のシーズンからは、それの冬期版である「冬季北海道巡り乗車券」も発売した(*1)。この時期、内地から北海道へとスキーに向かう旅行者は少なからず存在していたのである。
その着地営業に、鉄道省札幌鉄道局は1930年12月10日に奥手稲山の南方、ユートピヤと呼ばれた984メートル峰の中腹に「奥手稲山の家」を開設する(*2)。木造高床式3階建て、総面積150平方メートル、 収容人数の定員48名(最大80人)は当時に破格の大きさであり、その設備も本格的な山岳ヒュッテであった。銭函駅を起点に天狗山から奥手稲山へと続くスキー縦走経路終点に位置し、その前庭にはスロープも広がっていた。当初に電燈はなかったけれど銭函から鉄道電話の電信線も引かれていた。
1974年に国有財産として北海道大学に移管され、大規模補修を受けながら現在も同大ワンダーフォーゲル部の管理下に健在である。

鉄道省は、1935年のシーズンに現在のディスティネイションキャンペーンとも云えるニセイコアン地域のプロモウションを大規模に展開、前記の「冬季北海道巡り乗車券」はそれに際して設定したものである。
そして、1937年12月11日には、2軒の旅館が営業していたニセイコアン・ヌプリの中腹五色温泉へ「ニセコ山の家」を開設する。ここも冬期に道路の通じない位置ではあったが、奥手稲での山小屋的性格から温泉地を選んでの保養地的性格の加味は、この間のスキーのより大衆化を示すものであり、内地方面からの長期休暇でのスキー旅行も意識した結果であろう。温泉は通年での営業も可能にした。特別室に洋式の食堂も併設した定員44名の、これも最新設備の山岳ヒュッテであった。
当時にスキーにて到達するスキーの拠点であったのだが、戦後には山岳スキーの衰退、山麓へのゲレンデ整備とともにそれが嫌われ、無雪期はまだしも冬期の利用は低迷することになる。これに対して国鉄北海道総局は、1937年以来の地域観光への貢献を梃子に北海道に対して道々314号線の冬期除雪を要求し、それに併せて全面的な改築を行うこととした。鉄筋コンクリート三階建て、洒落たロビーに食堂、ラウンジ、テラスを持ち、洋室に和室も持つ宿泊棟の収容定員を128名とした、セントラルヒーティングの新施設は1974年9月に完成している。外部に委託とした運営を続け、1987年には北海道旅客鉄道に引き継がれたが、施設老朽化と利用減を理由に2002年に営業を廃止した。
その後、売却を受けた民間企業が日帰り入浴施設として営業するけれど、冬期休業はその沿革に逆行する不幸であろうか。
(この項続く)
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(*1) 遊覧券とは、1925年9月25日に制度化され同年10月25日から発売されたクーポン式旅行券であり、戦後制度での一般周遊乗車券の嚆矢である。北海道遊覧券は自由乗降の均一周遊乗車券にあたる。宿泊券や会社線の乗車船券を含み、販売窓口はジャパントゥリストビューローに限られた。
(*2) この開設を記録する鉄道省年報には「奥手稲スキーの家」とある。小屋開きは1931年1月17日に行われ、これを以て1931年開設とする資料もある。また年報は営業期間の12月1日より4月30日と書く。無雪期の営業はなかったのだろうか。

暴風雪を衝いて倶知安を出て往く137列車、小樽行き。それでも定時運行である。
朝の<北海>でここに降りたものの、この日は一日中吹雪いて写真にならなかったのを思い出す。

[Data] NikonF3P+AiNikkor180mm/F2.8ED 1/125sec@f5.6 Protection filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopLR5 on Mac.
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