"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

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北入江信号場-有珠 (室蘭本線) 2013

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1945年8月1日に長万部起点43.9キロに設置されたのが北入江信号場である。
1942年10月6日の閣議決定「戦時陸運ノ非常体制確立ニ関スル件」に定められた、北海道炭の京浜地区軍需工場への年間300万トン陸上輸送の非常体制緊急施策(*1)に基づき、函館/室蘭本線上に設けられた16箇所(*2)の信号場のひとつであり、ここには出発補助線(通称に加速線)が設備されていた。
Web上に拾えば、相変わらずにこれを以て北入江を「戦時型信号場」や「スウィッチバック式信号場」とする記述が散見される。おそらくは、検索エンジンにピックアップされる頻度の高いWebSiteの記事が検証なく転載されたものだろうが、これは事実誤認ないし誤解である。

「戦時型信号場」とは戦後の、それも鉄道史研究が先行しての付名であり、決して当時にそう呼ばれた訳では無い。ゆえに誤解の生ずる余地は認められるものの、それは「国有鉄道建設規程」の許容する上限である10パーミルを越える勾配途上でありながら、「国有鉄道建設規程戦時特例」(1944年1月25日運輸通信省令第5号)を適用してスウィッチバック式構造を採らずに通常の行違い線式とした信号場を指しての名称である。当然ながら、そこに停車した勾配上部へ向かう蒸機列車の前途運転継続には出発補助線が必須であったが、これは戦時型の信号場に固有の設備では無い。非力な蒸気運転の時代には少なからず事例の存在した。
北入江は10パーミル勾配上に位置して戦時特例の適用を要せず、出発補助線はD51ないしD52形蒸機の一台にて牽引定数1200と云う特殊な運行に対してのことである。戦時下ゆえ土工が速成工事であったり、本屋建築など簡略化のなされたかも知れぬが、信号場設備自体はそれまでと何ら変わるところは無い。部内実務者や研究者は厳密に区別してきたのだが、その「戦時」非常体制下での設置と云う性格と、「戦時」特例での設計の形態とがいつしか混同されたものだろう。
また、スウィッチバック式とする誤解も、そこへの停車・出発に際して必ず退行運転をともなう配線の停車場がそれであるから(*3)、出発補助線は折返運転を行うものの、勾配方向への主には重量貨物列車に限られて該当せず、通常の行違い線構造に付帯したに過ぎない。

ポツダム宣言受諾の僅か2週間前の開業であった北入江が前述の戦時下輸送に貢献したものかは分からない。用途を失って1948年7月1日付にて廃止、設備は撤去された。
以来15年余り、高度成長にともなう切迫した輸送需要に対して、1964年9月30日に600メートルを岩見沢方に寄った起点44.5キロに同名信号場が開設されるのだが、これを「移転」とする記述や、それの廃止後に同位置への1994年1月24日の再設置を「復活」とするのも誤りと云える。この3代に渡る北入江信号場は当然ながら書類上相互に関係せず、全てが「新設」である。

第三次長期計画に含まれて1968年4月着工の70年10月複線使用開始を予定しながら、それを放棄しての現在までの単線運転は、5キロばかりの洞爺-有珠間に信号場を置けば、1964年度の算定でも洞爺-北入江で132回、北入江-有珠で153回の線路容量を確保出来たからであろう。ちなみに信号場の無ければ、それは100回前後に留まる。
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(*1) これを(狭義の)陸運転換施策と云う。
(*2) 内2箇所は軍川-森間増設線(砂原線)開業時に設置
(*3) 国鉄の定義は「着発本線が折返運転により列車の発着を行う中間停車場」である。

写真は、(1994年1月24日設置の)北入江を1キロばかり下ったR=300からR=360の反向曲線区間での8001列車。
近年には高名な撮影位置と云うけれど、いつものように畑作地の縁とする。

[Data] NikonD3s+AiNikkor105mm/F1.8S 1/500sec@f5.6+1/3 Non filter ISO320 W.B. Auto Developed by CaptureOne5 on Mac.
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