"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

小沢 (函館本線) 1974

kozawa_09-Edit.jpg

道内線区には幹線として開通しながら、後にその地位を奪われた例が幾つか存在する。何れも、より短絡線に代替されてのことで、釧路連絡線の一部であった富良野線、宗谷本線として開通の天北線、かつての網走本線だった池北線、それに替えて北見・網走連絡を担った名寄本線などである。
この函館本線の長万部-小樽間、通称の函館山線区間もその類型には違いないけれど、やや事情は異なっていた。噴火湾北岸の断崖地形を越えての長輪線の開通は岩見沢との短絡であったから、内地とを結ぶ貨物幹線とは成り得ても、その際に札幌連絡の旅客輸送が転移することはなかったのである。戦後に進駐軍専用列車の運行を契機に室蘭・千歳線経由運転の優位性が実証され、国鉄部内で地域交通線化が幾度か検討されながら、1961年10月改正で道内最初の特急列車が東室蘭経由とされた後に至っても、なお幹線の地位を保ち続けたのは偏に沿線の小樽市の存在ゆえであろう。
1904年10月15日に函館-小樽中央(現小樽)間全通を果たした北海道鉄道(初代)が、当時の幹線鉄道中最悪と云われた線形を以てしても渡島半島の縦断経路を選択したのは、噴火湾岸の断崖を避けたと言うより、札幌を凌ぐ経済拠点であった小樽を、そこに達していた北海道炭礦鉄道線との接続を無視出来なかったからに他ならない。
以来、小樽を経過地とする内地連絡列車は連綿と温存され続けたのだが、戦後においてその市勢が縮小して札幌経済圏に吸収され、内地への旅客流動も千歳空港方向となるに及んで、ようやくに(?)山線は幹線より没落したのだった。

国鉄が永年の懸案であった山線の地方交通線化を断行したのは、民営化を目前に控えた1986年11月改正である。先に記した各線区での事例が1900年代前期の鉄道が陸上交通の主体を担った時代のことゆえ、長距離優等列車が転移しても、そこは引続き主要な交通路であったのだが、希有な近年の事例となったここでは、ドラスティックに変化が進んだ。行き違い設備の撤去など施設の簡素化は云うに及ばす、線路等級の格下げにより保守基準も緩められたから、線路はたちまち細道と化して、女満別 (石北本線) 1973 にも書いたように、最近では列車走行空間も確実に小さくなっている。
棒線の上にダルマ駅と化した二股に蕨岱や、大きな駅本屋に10両編成対応の長い乗降場を持て余す倶知安もそうだけれど、この区間の零落を最も強く感じさせるのは小沢だろう。倶知安峠と稲穂峠の谷間に在って上下列車とも峠への緊張感を持って出発して行った駅は、岩内線の接続駅として多くの駅員を収容したであろうマンサード屋根の大きな駅本屋がすっかりと取り払われ、跡地への小さな待合小屋周囲には空疎な空間の広がるばかりの光景を見せる。風雪を刻んだ重厚な跨線橋だけが残されれば、なおさらの感がある。構内北側の側線跡へは周囲の植生が進出して、構内は一回りもふた回りも小さくなった。

蒸機運転の無くなって間もない頃、雪の降り始めの小沢駅。
積雪に備えて準備されたのは、ホーム上での手小荷物・郵袋の運搬用の橇である。永いこと使われたであろうそれは、無骨だけど丁寧に木を曲げて創られていた。岩内線ホームには朝の線内輸送を終えた気動車が佇む。

[Data] NikonF photomicFTN+AutoNikkor35mm/F2 1/250sec@f5.6 Y52 filter  Tri-X(ISO400)  Edit by PhotoshopLR4 on Mac.


ご来訪の皆様へ

本日で、ここに記事を書き始めてから2年が経過しました。この間、ご訪問下さった皆様方には、深く謝意を表する次第です。
2年前の初回記事が小沢でしたので、一年目に引き続いて、今回も小沢に帰らせて頂きました。
これまでの記事は451回を数え、写真も451枚と云うことになります。
丁度一年前にも同じことを書いたのですが、写真のストックは1万2千カット程を持つものの、記事のネタが尽きそうで困ってます。特に80年代以降には、同一地域、地点に季節や時間帯を変えて幾度も再訪するような撮り方をしていましたから、なおさらです。

大分前にそれに気がついたことを忘れていて、最近に再び発覚したのですが、1969年から71年の撮影ネガの一部が見当たらないのです。おそらくは、その頃転々と使わせてもらっていた何処かの暗室に置き忘れたのもの、と推定しています。なにせ40年も前のことで見つかる訳もありませんから、この部分は書庫からやっと探し出した紙焼きからのスキャニングで間に合わるつもりです。いずれ、解像度の良く無いカットが登場するでしょうが、ご容赦下さい。内地版ブログも含めてです。

記事ネタ次第にて、このスタイルで何時まで続けられるかわかりませんが、今後とも宜しくご支援下さいませ。

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コメント

いつも読ませていただいております。

初めまして、こんばんは。
毎記事、読ませていただいております。
この記事が始まってから二年にもなるのですね。お疲れ様です。
こちらの記事はワタクシの生まれる前、幼少期の頃のものとなって、
ワタクシが見たくてもみれなかった時代の北海道の鉄道があって、
とても興味深く読ませていただいております。
読めば読むほどに、写真を見れば見るほどに、この70年代、80年代特に前半の
北海道の鉄道を見に行けたらと思ってしまいます。
まさに鉄道の時代。

さて、これからも楽しみに読ませていただきたいと思います。
元気に、このブログを続けてくださいませ。
では、これにて失礼いたします。

  • 2013/12/13(金) 00:29:56 |
  • URL |
  • くれん #wlM9cqNQ
  • [ 編集 ]

ありがとうございます

くれんさん、こんばんは。
こちらこそ、ありがとうございます。
私も、くれんさんの記事は毎回読ませていただき、平易な筆致ながら、これは結構マニアックな鉄道屋のモノ書きと睨んでおりました次第です。
いつの時代の鉄道屋でも同じことを考えて居るもので、
私も、1950年代初頭から、極めて曖昧に記憶の在る末期に至るあたりに戻りたいと願う次第です。
2年間で451本も、よくぞ駄文を書き飛ばしたものでありますが、手元ネタは枯渇しつつあって、策を考慮中であります。
今後とも、宜しくお願い申し上げます。

  • 2013/12/13(金) 02:53:47 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

2年も・・・

まずは開設2周年おめでとうございます。
よくこれだけ詳細な路線敷設の背景と変遷とを、毎回続けられると
感嘆しておりました。
骨太であるがゆえの続けることの難しさ。
せめて写真だけとなっても、引き続き鑑賞の楽しみを味あわせていただきたく、お願いします。

  • 2013/12/13(金) 16:08:07 |
  • URL |
  • マイオ #pcU4xDNY
  • [ 編集 ]

ありがとうございます

マイオさん、駄文におつき合い頂いて、いつもありがとう御座います。
なんとか記事ネタは、ひねり出して居りますものの、そろそろ手持ち資料ばかりでは限界ゆえ、
再び国会図書館通いかなぁ、などとも思っています。
あそこは、文献を請求してからそれの出て来るまでの時間が永くて困ります。
まぁ、年間に閲覧者が一人か二人の資料を請求しているので、仕方ないかも知れませんが。
今夜は会津あたりの宿でしょうか。積雪を分けての山登りも大変かと。

  • 2013/12/14(土) 00:02:55 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

こんにちは。いつも楽しませてもらってます。2年ですか、早いですね、次の策楽しみにしています!

  • 2013/12/14(土) 16:29:22 |
  • URL |
  • taisho100nen #-
  • [ 編集 ]

丸2年もの間、このボリュームで記事を発表し続けていらっしゃたことに感動しています。
毎記事、必ず拝見させて頂いておりますが、コメントに臆してしまい、「読み逃げ」状態の私を、お許しください。。。
どんな形になっても、これまで通り楽しみにしてます。

  • 2013/12/14(土) 20:56:47 |
  • URL |
  • うめじろう #-
  • [ 編集 ]

ありがとうございます

taisho100nenさんには当初よりご訪問いただき、ありがとうございます。
そろそろ、ごく最近のディジタル撮影も出して往こうとも思うのですが、
これも同じようなところで繰り返し撮ってますので、ネタ探しが大変です。
今後ともご声援下さいまし。

  • 2013/12/15(日) 10:31:47 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

ありがとうございます

とんでもございません。感謝申し上げます。
上野幌あたりと思われる貨物列車など拝見しますと、
「うめじろう鉄道写真」も早くも基本セオリーは会得なさっておわれる様子。
こちらこそ、楽しみにさせて頂きます。

  • 2013/12/15(日) 10:36:56 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

こんばんは
開設2周年おめでとうございます。
いつも読み逃げばかりで失礼しております。
貴重な画像と当時は知り得なかった情報を詳細に解説いただいて
長年の疑問が晴れる記事も多数ありいつも興味深く拝見しております。
今後もお邪魔させていただきますのでよろしくお願いいたします。

  • 2013/12/15(日) 21:51:34 |
  • URL |
  • kattsu-mqc #ElJgphU6
  • [ 編集 ]

ありがとうございます

いつものご訪問に感謝いたします。
ここでの沿革モノとか技術モノは自分の覚えとしてまとめている一面もありまして、
後で自分の記事を参考にしたり、調べものに利用したりに使っています。
なので、新事実が判明した場合等、かなり前の記事に戻っての訂正や加筆もしています。
大幅なものでない限りは改めてお知らせはしておりません。
そこはご容赦くださいませ。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。

  • 2013/12/16(月) 18:56:06 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

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