"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

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厚岸-糸魚沢 (根室本線) 1972

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根釧地域の地形の基盤は、有史遥か以前の阿寒・知床火山群による火砕流堆積台地である。海進期に海食崖や海岸段丘、堆積海食面を形成し、湾口に砂州が発達してそれを塞いで、海面が後退すればそこに低湿地を生じた。
厚岸湖北岸に河口を有する別寒辺牛川と、尾幌川、大別川、チライカリベツ川、トライベツ川、フッポウシ川などの支流の流域に発達した8300haにも及ぶ湿原を別寒辺牛湿原と呼んでいる。この呼称は近年のことで、厚岸町により1980年代に命名されたものである。ここが厚岸道立公園に含有された1955年以来には厚岸湿原と呼ばれていたのだが、それは1980年当時の厚岸駅の名所案内標にも記されていなかった。

1919年11月25日に厚岸から厚床までを延長した根室線(当時に滝川-釧路間は釧路本線と呼称)は、厚岸に停車場を設けた以上、厚岸湖西岸からこの湿原をチライカリベツ川沿いに糸魚沢の台地に取り付く線形が選ばれた。ここは火山灰と腐敗植物による土壌が凍結と融解を繰返して形成された泥炭湿地帯であり、路盤構築には非泥炭地の数倍の設計土量の投入を要する工事であったに違いない。
道内には、この泥炭湿地が広く分布しており、必然的にそこへの線路敷設も避け得ない。1950年代の資料によれば、この根室本線総延長の15.4%に当たる69.4キロが泥炭地への敷設であり、釧路湿原を通過する釧網本線は33.3%が、オホーツク岸の海岸湿原への北見線(後の天北線)は実に42.4%、全線が石狩低地に在った札沼線に至っては72.3%が該当していた。

建設ばかりではない。泥炭地線路は軟弱地盤に不安定であり、同資料には年間の恒久的沈下量が普通路盤に対して2から3倍に及ぶことや、9600形機関車通過時弾性沈下の最大量が普通路盤の1・2mm程度を遥かに上回る最大56mmを記録したこと等の報告が在る。当然に軌道狂いを生ずる原因となって、軌間、水準狂いに極端な差は見られないものの高低と通り狂いは、2から3倍の発生量となり、これに軌道の輹進も大きいから保線作業量は、年間に1kmあたりの比較で非泥炭区間を100として158に達していた。
もちろん、線路部材や砂利などの保守資材も多くの投入を要して、人手も経費も掛かる線区だったのである。
現在では、重軌条化が達成され、道床厚増加にそれの砕石化による軌道強化を完了し、枕木や軌条締結方式への技術進展、さらにはセメントミルクの地盤注入によるそれ自体の強化も行われて、この報告当時の状況からは遥かに改善されてもいるのだが、泥炭上を線路の通過する限り根本的に解決されたではない。
冬期には、凍上と融下が繰返され、積雪地ともなればその間の保守作業が困難であることに変わりは無く、「手を焼かされる」線路なのである。

写真は、厚岸湿原を往く1493列車。
これは、良く云われる「手前側の丘」からの撮影。「向こうの丘」がベストとは承知していたけれど、厚岸から炎天下6キロ近くを歩いて、それ以上の気力がなかったのである。
この頃までは、モノクロ撮影に絞りきれずにカラーネガを併用していた。

=参考文献=
泥炭地線路の特性とその対策について : 旭川鉄道管理局施設部保線課 小川清 (1955年 土木学会研究資料)
日本の自然 北海道1 : 岩波書店編

[Data] NikonF PhotomicFTN+P-AutoNikkor50mm/F2 1/125sec@f8 Nikon L1Bc filter  SakuraColor100  Edit by PhotoshopLR4 on Mac.

Website "カメラ 万年筆" Updateのお知らせ (2013-08-29)

Reference に、「信号場と信号所 - 鉄道法規上の明確な区分」を公開しました。
「所」が消滅して四半世紀となるのに、未だに誤用/誤記の多い「場」と「所」にかかわる「明確」な解説です。
ここに分散して既出の記事を統合の上、加筆しています。
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コメント

厚岸糸魚沢

こんばんは。
想像はついても、このように精緻なデータを示していただけると、
この線路の維持がいかに困難か実感できますね。

「厚岸から歩いて疲労困憊」は理解できます。私は炎暑の中、朦朧として「丘」の存在すら気付かず、糸魚沢に着いてしまったことがあります。
(途中からヤケクソでただコーラの自販機が恋しいだけでした)
途中、停まった車から「乗ってけ」と言われた事も。よほど哀れに見えたのでしょう。

これは「手前の丘」ですか。私が最近撮ったのは「向こうの丘」かと思いますが、大カーブが印象的ですね。

  • 2013/08/31(土) 22:10:13 |
  • URL |
  • 風太郎 #ORZvdv76
  • [ 編集 ]

Re: 厚岸糸魚沢

こんにちは。
ほんとうに、ひたすら歩かされるポイントでした。
今でも、この間に自販機は無いでしょうね。
ただ、最近にこの丘の麓に野鳥観察の施設が置かれて、そこには有るかも。

そうです。
前に見せていただいたカットが「向こうの丘」です。
見渡せる景観に比して、短編成(と云うか単行)列車ばかりになってしまったのが
とても残念な区間でもあります。

  • 2013/09/01(日) 10:43:41 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

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