"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

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[番外編 13] 小沢 (函館本線) 1979

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汽車弁当とも呼ばれた駅弁は汽車旅の必需品に違いなく、平型の木箱を肩に吊り下げた駅弁当の立売り人の姿は鉄道景観の一部を成すものであった。

列車の駅に到着すれば、拡声器からの駅名連呼と立売り人による「呼び売り」の口上とが乗降場に交錯し、この様を記憶するのは最早一定の年令より上だけとなった。旅客車内の乗客と客室窓を介しての販売を前提とした移動形態ゆえ、固定窓の特急型車両の進出した70年代を通じて衰退し、その形態が意味をなさなくなって乗降場上に設けられた売店やワゴンなどでの待ち受け販売に置き換わって行ったのである。
短い停車時分ゆえの、客との代金に弁当と釣り銭のてきばきしたやり取りや、動き出した列車とともに乗降場の尽きるまで歩調を合わせた「追っかけ売り」など昔語りである。
代金の支払いに手間取ろうものなら、さっさと他の客窓に移ってしまうから買い手もそのつもりで居なければならない。乗降場と反対側座席の乗客に窓を譲るのも車内に必須のマナーであった。

道内においては、長距離移動が夜行中心だったので全てを知る訳ではないが、函館/室蘭本線上でも比較的遅くまで残っていたように記憶する。長万部や倶知安、室蘭、苫小牧に岩見沢、滝川、旭川などである。70年代半ばくらいまでの岩見沢や旭川は、夜行列車でもその長い停車時間に編成の端から端まで「回り売り」していた。
窓の開く車両ばかりだった線区ならなおさらで、興部や弟子屈、静内、厚岸などは80年代にも生き延びた覚えが在る。昼間の遠軽は知らぬのだが、夜行に出張って来た売り子は木箱を折りたたみの脚台に載せて客を待っていた。

この立売りの販売形態は鉄道の開業当初より存在した駅構内営業の原初形態だろうが、日本国有鉄道の発足以降は「日本国有鉄道構内営業規則」(1949年7月27日公示第75号)で「構内旅客営業」の「立売営業」中の「駅構内立売営業」として区分され、その出願から承認、監督指導、営業料金徴収まで細かく規定されていた。
これによれば、国鉄の徴収分は総売上の1.1から2パーセントとあり、無店舗販売であるから需要さえあれば美味しい商売ではあったのである。鉄道側としても旅客サーヴィス上欠かせぬ事情からでもあろう。その分監督指導は厳しく、良く知られるように販売価格の上限は低く抑えられ、服装、用具などにも規定があった。
この戦後の規則からは外されてはいたけれど、鉄道院/鉄道省の時代の東京鉄道局管内では服装は全駅にて統一され、件の平型木箱もサイズばかりでなく外面を漆塗り、内側を春慶塗とするよう通達の出されていた程である。この、現場で「吊り箱」とか「掛け箱」などと通称されていた木箱の規則上での正式名称は「携帯容器」と云う。

この小沢駅の立売りも、岩内線列車の急行への解結や客車列車の小荷物扱いで停車時間の長かったものか、比較的遅くまで存続していた。構内営業業者は伯養軒末次商会である。
ここでの駅弁は300円の寿司のみで、メイン商品は北海道鉄道による開駅以来と伝えられる250円のトンネル餅であった。(価格は80年頃)

[Data] NikonF2A+AiNikkor50mm/F1.4 1/15sec@f1.4 Nonfilter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopLR4 on Mac.

Website "カメラ 万年筆" Updateのお知らせ (2013-07-01)

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コメント

弁当売り

こんばんは。

駅弁売りのスペックまで掌握されていましたか。いつもながら感心いたします。
私が旅した1980年代は、もうホームでの立ち売りは見かけなかったような。
当時の貧乏旅行においては駅弁すら高級品だったのでもとより関心が無かったのかも。
白いスチームに浮かぶ弁当売りの影が泣かせます。
あの小沢ですら弁当を売っていたんですね。

  • 2013/07/03(水) 23:20:00 |
  • URL |
  • 風太郎 #ORZvdv76
  • [ 編集 ]

Re: 弁当売り

こんばんは。

一部の寝台列車を除けば、もう半日すら車内で過ごすことが出来なくなっていますから、
敢えて車内で食事する必要は無く、駅弁当の時代は終わりました。
今、華やかに売られているのはコンビニ弁当、良く云っても仕出し屋弁当の延長でしかないものです。
寂しいことですけれど。

80年代は、何とか生き延びた汽車弁屋は多いですよ。
その半ばでも、名寄本線興部や釧網本線弟子屈で購入した覚えがあります。
この小沢も。

  • 2013/07/04(木) 00:27:52 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

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