"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

様似 (日高本線) 1982

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国鉄自動車の日勝本線/襟裳線は、1943年8月1日より乗合自動車を営業していた民間の日高自動車を買収して開設されたものである(1943年7月27日鉄道省告示209号)。この日、札幌鉄道局室蘭管理部に現業機関-様似自動車区が置かれて、本様似-庶野/歌別-襟裳間で運輸営業が開始された。営業範囲は旅客・手小荷物は勿論のこと貨物輸送も含むものであった。
ここへの国鉄自動車の進出は、鉄道敷設法(1922年4月11日法律第37号)別表の133に在る「膽振國苫小牧ヨリ鵡川、日高國浦河、十勝國廣尾ヲ經テ帶廣ニ至ル鐵道」の鉄道未開業区間を先行する使命に依っており、庶野から広尾に至る区間は戦後の1946年11月25日に開業し様似-広尾間が全通している。

戦後も1950年代ともなれば観光需要も回復し、輸送状況も安定した国鉄は1956年に北海道周遊券を発売する。この有効期間の長く格安の乗車券は学生を中心とした層に受け入れられ、後に「カニ族」と呼ばれた貧乏旅行者を生み出すに至った。登山や野外活動経験者であった初期の「カニ族」達は既製の有名観光地に飽き足らず、離島や北辺の岬など「最果て」を指向して襟裳岬もその目的地のひとつとされた。
国鉄もこれに呼応して、襟裳線の襟裳から灯台への延長を灯台-庶野間の一部として1957年7月18日に開業し、灯台経由での周遊を可能にしていた。
こうして観光地として注目される中で、進みつつ在った気動車の配備を背景に、この自動車線に接続する観光列車-準急<えりも>が1959年6月7日より札幌-様似間に設定される。もっとも日曜のみの運転は(当時に週休2日制は存在しない)道内客の日帰り旅行の利便を図ったものではあった。
翌1960年4月22日にはこれと逆時間帯、即ち日高本線沿線から札幌方面への往復に定期運転の準急<日高>の運転が開始され好評を以て迎えられた。そして、1963年6月1日の改正にて<えりも>を定期列車とし、1966年6月1日改正で<日高>もこれに改称の上昼間時間帯に1往復を増発として<えりも>の3往復体制が確立、これは1986年11月1日改正における廃止まで引き継がれた。

当初のキハ21での運転は定期化時点までにキハ27(56)に置替られて、以後その使用が永く続いた。運転区間全般が概ね平坦線ゆえ機関1台車が所定であった。
1985年3月14日改正では配置形式の関連から所定をキハ56の2両組成とするも実際にはキハ40の入ることもあり、1986年3月3日改正以降は苗穂機関区から苫小牧機関区運用に移管され、同区キハ40と共通運用が組まれて、それの2両編成が急行列車として運転された。千歳線内では同区間の快速列車よりも所要時分を要したから、使用車両のみならずこの点からも堂々の遜色急行と云えた。

写真は、様似川橋梁を渡る703D<えりも3号>。
様似 (日高本線) 1969 と同一位置からの13年後である。背景の市街地はほとんど変わっていない。その間にこの丘へは道路が付けられて容易に登れたのだが、橋梁近くに倉庫らしきものが建てられてしまい、画角の邪魔をする。

苫小牧で本線系統列車との解結の永く続いたこの列車の、そこでの構内配線からの特徴的な運転については 厚賀-大狩部 (日高本線) 1984 に書いた。

[Data] NikonF3P+AiNikkor50mm/F1.4S 1/250sec@f8 Fuji SC42filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopLR4 on Mac.

以下、余談である。
1959年運転開始の<日高>は利用債による設定であった。国鉄は、その運用車両となる気動車の導入経費を沿線自治体等の起債引き受けにより賄ったのである。気動車導入を加速したい国鉄と、それによる列車設定を希求する自治体側との思惑の一致したものではあるが、元はと云えば住民の税金を投入してまで交通の利便性確保が要求された時代でもあった。
以下私見なのだが、それの償還の済んだ後々まで国鉄はその経緯を忘れはしなかったものと思う。
その廃止まで、末端区間を普通列車に格下げしたとは云え、札幌に直結する3往復の急行運転を維持し続けたのである。道内の他のルーラル線区列車の例と異なり、設定削減や線内運転化、千歳線内の快速格下げの段階を経なかった事実が何よりの証であろう。全廃が物語るように需要はとっくに消滅していたのに、である。
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