"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

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常豊信号場 (根室本線) 1976

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大沼公園 (函館本線) 1971から続く

国鉄が1970年代前半に展開した営業施策である『DISCOVER JAPAN』と題された誘客キャンペーンは、万博輸送に向けて整備拡充された幹線輸送力の、それの閉幕後の利用確保を目的として立ち上げられたのだけれど、それは遂には当時の時代の気分を象徴する社会現象となり、その後現在に至るまでの旅行のスタイルを規定し続けているとして過言では無い。それは、「旅すること」の商品化の観点である。

スポンサーは国鉄に違いないが、巨大広告代理店-電通の主導したこのキャンペーンは、万博への誘客に際して得たノウハウをより深度化したものであった。すなわち、国鉄と大手旅行代理店が密接に連携し、その駅頭や列車内に代理店店頭のみならず、電波に紙媒体などマスコミへの広告やパブリシティの露出を集中投下的に行い、設定された旅行商品販売の専用窓口を国鉄駅と旅行代理店にあまねく設けていた。
60年代からのレジャーブームにて潜在化し、万博への旅行にて顕著となった(団体旅行やグループ旅行に対しての)個人旅行客の需要維持と拡大に主眼が置かれて、既存の特定の観光地への集客ではなく、「旅に出ること」そのものがテーマであった。

おそらく、主導した電通は意図的であったと思われるのだが、このキャンペーンタイトルは、ヴェトナム戦争への反戦運動に揺れるニクソン政権によるナショナリズム運動であった「ディスカヴァーアメリカ」の捩りであり、サブタイトルとして付された「美しい日本と私」のコピーにあるように、日本においても頻発した学園紛争や沖縄返還闘争、そして70年安保と動揺した社会に見え隠れしていた時代の気分を読み取り、保守回帰を促す要素を持っていた。
掲出されたヴィジュアルも、初期には特定の観光地に拘らない、日本の自然や歴史、伝統など回帰色の濃いイメージが表現され、ここからひとつには「古い街並」が新たな観光地として注目されて往く。同時期に創刊された平凡出版の「an・an」や集英社の「non-no」と云った、これも従来のものと一線を画した女性誌が、必然として個人旅行を編集テーマ化し、そこへと向かう新たな個人ないし少人数グループの、「アンノン族」と呼ばれ女性旅行者の一群を産み出し、社会現象となった。けれど、そこでの「旅」は与えられた情報の追体験であり、それは消費するものであった。
政治の季節の過ぎた沈黙の70年代に、商品化された旅は、時の為政者による新たな民衆管理の道具となり、『DISCOVER JAPAN』とはその触媒であったとも見て取れる。

さて、これを60年代末から道内を旅していた鉄道屋から見れば、それはキスリングを背負った「カニ族」と呼ばれた旅行者達を激増させ、たちまちに駅や連絡船に夜行列車を埋め尽くすものの、70年代半ばを過ぎると瞬く間に数を減じて、確かに「アンノン族」と思しき女性旅行者にとって替わられて往くのだった。やがては冬期にひとり旅する姿も目撃するようになる。彼女達は、あまり夜行急行には乗らぬゆえ、それの座席確保に余裕の生じたのは福音ではあった。その向かう先は、情報に管理されて「再発見」する函館・小樽と云った街であったから、それで「放浪」する必要もなかったのである。

落葉松林を抜けて往くのは、401D<狩勝1号>。
新吉野から厚内への根室本線は、浦幌川の河口を目指すでなく、左に転向して厚内トンネルをサミットとした山越えをする。浦幌から常豊信号場へと歩いたのだけれど、見るべき足場はなかった。
これは、カラーで撮るべきとは承知のカットである。

『DISCOVER JAPAN』キャンペーンに具体的に旅行地の登場するのは、導入期を終えた72年半ば以降のことで、それは津和野・萩に木曽路と云った本州方面であったから、旅行の王道の北海道は少しばかり蚊帳の外に置かれた。混雑を極めた道内優等列車も乗り易くなっていたのである。

[Data] NikonF2A+AiNikkor50mm/F1.8 1/500sec@f8 Y52 Filter Tri-X(ISO320) Edit by CaptureOne5 on Mac.
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