"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

礼文-大岸 (室蘭本線) 1992

okishi_02-Edit.jpg

噴火湾の北岸、その最も奥まったあたりでは、眼前に海面を見るにかかわらず、そこから陽の出ずることも没することも無い。北海道の地図を俯瞰すれば、すぐに理解されるのだけれど、現地に立てば戸惑うことの多かった。
内地の太平洋岸に永く暮らしてしまうと、海が在ればそこから陽の昇るものとの感覚に囚われるのだ。
豊浦の俯瞰山から貫気別川を見下ろせば、陽は左手後方から射し始め、蘭法華岬で下り列車を待てば、岬の大きな影が海面に落ちるのである。

そして、それは渡島半島脊梁の低くなだらかな山系に没して往く。地勢の関係からだろうか、その薄暮時間の短くて夏期でも30分に満たなかったと記憶している。
写真は、礼文浜の薄暮を、良く知られたチャス岬から眺めている。手前の山体が大きな影になって、ここはもう闇に溶込んでしまった。

今では、「道道608号大岸礼文停車場線」は、旧室蘭本線の路盤とトンネルを拡幅しての新道が整備されたが、この頃までのそれは、素堀のままのタッコブ/岩見の両隧道を有する細い海辺の道路で、風情としては遥かに滋味のあるものだった。付言すれば、それは1944年に開削されたかつての国道37号線でもある。

列車は、3063列車。ヘッドライトしか写らぬゆえ、どの列車でもよいのだが、ここは日没時刻を睨みながら律儀に機関車列車を待ったのだった。
秋の始まりの頃、誰も来なくなった浜には波だけが光り、アスファルトの路面は僅かな反射を見せる。
新道に照明の設備されてしまい、今はもうこの静けさは失われている。

[Data] NikonF4s+AiNikkor105mm/F1.8S 1/125sec@f1.8 Non filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopLR3 on Mac.

道内の撮影と一体で、青函を渡る前に訪れた幾つかの線区の鉄道風景のブログを書き始めています。
更新頻度は低いかもしれませんが、本ブログの姉妹編にして、その内地版とも云えるものです。

Monochrome Days 70's/80's

こちらにも、お立ち寄りいただければ幸いです。
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コメント

静けさ

こんばんは。

真っ黒な山塊が饒舌なのはモノクロの魔力ですね。
この場に立った人にしか分からない、夕暮れの静寂が伝わります。
聞えないはずの遠い波の音も、聞こえて来るようです。

  • 2012/12/03(月) 21:51:33 |
  • URL |
  • 風太郎 #ORZvdv76
  • [ 編集 ]

Re: 静けさ

こんばんは。

ありがとうございます。
ここは昼間でも空気感のある静かな場所だったのですが、
礼文と大岸を結ぶには不釣り合いな新道が通って、
しかも豊浦町が「文学碑公園」とか訳のわからない施設を造ったりしてまして、
まったく以て、何も無いことの良さを知らぬ訳でもないでしょうに。

  • 2012/12/04(火) 02:16:44 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

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