"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

厚床 (根室本線) 1977

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厚床へ降り立つのは、いつも標津線への乗継ぎばかりだった。
夜行の<狩勝4号>で着いた釧路からは、座席車にそのまま座っていれば30分弱の停車にて根室行き441列車に直通し、これでも標津線接続は間に合うのだけれど、この日はそれを厚床で撮ろうと急行<ノサップ>にて先回りしたのだった。その時刻には、根室からの1462列車も到着して構内での貨車入換えに忙しいはずだし、遥かに函館を目指す急行<ニセコ2号>を見送ることも出来るのである。

この頃までの厚床は、当然ながら運転扱いの駅で、根室本線の上下本線に加えて、主に標津線列車に使用されていた中線を持ち、上り本線外側には3本の側線とそこから分岐しての転車台と給炭台/給水塔の名残の在る標茶機関区厚床派出所(当時)が在り、本屋下り寄りに貨物扱い線が存在していた。その上り寄りは、鉄道官舎が幾棟も立ち並び、これらの構内施設は厚岸を凌いで釧路以東区間での運転上の拠点駅だったのである。
待合室には弘済会の売店も開かれ、なにより拠点駅らしく駅前所在の田中屋調製の「ほたて弁当」の立売りが健在であり、この頃の掛紙を探してみれば定価400円とあった。

またも酒の話で恐縮だが、ここを含む根室半島一帯は、根室市街地に所在する日本最東端の酒蔵「碓氷勝三郎商店」の醸す「北の勝」が圧倒的な販売シェアを維持している。それは、地産地消を旨とする造り酒屋の本来の姿と云える。年間の醸造量で二千石程と推定される小蔵ではあるが、それの大半が根室管内にて消費される。
この蔵元は、創業から百年を越える老舗ながら、その組織はともあれ法人登記のされていない個人商店を通している。善かれ悪しかれ、現場を取り仕切る番頭以下の従業員が店主に寄り添う家族的経営を維持し、これも昔ながらの造り酒屋の形態である。根室市内に多くを所有する不動産資産を背景とした安定経営があって、取引先を周辺地域のみに限る身の丈経営に徹し、この地域の飲食店や酒販店には例外無く「北の勝」が置かれて、地元もまたそれに応える(かつてはそれが当たり前であったはずの)理想的な地域と酒蔵の関係が残されているのである。
ここの主力酒は、あくまで「大海」や「鳳凰」に代表される普通酒であり、吟醸や純米は年間に数回、少量が出荷されるに過ぎない事実が、それを物語っている。
付記すれば、ここの普通酒は2006年醸造年度以降、糖類・酸味料添加の所謂「三増酒」を脱している。
77年に、厚床の駅前食堂を兼ねた田中屋で目にしたのも、当然ながら「北の勝-大海」の一升瓶であった。

写真は、厚床下り本線に到着する混合441列車。
当務駅長がタブレットキャリアをいち早く受け取るべく、腕を掲げている。まもなく、中線に到着する(上り本線には1492列車が停車中)104D<ニセコ2号>にそれをいち早く手渡すためである。
その後方では、青森運転所[盛航21]運用のオユ10から郵袋を受取る郵便局職員がリヤカーと共に待機している。

[Data] NikonF2A+AiNikkor50mm/F1.8 1/250sec@f8 Y52filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopLR3 on Mac.
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コメント

すいません、くだらないことだらだらと・・・

2回目の「いたずらくがき」になります。
空気読めないゆえの拙文、
予めお詫び申し上げておきます。

まさか、「北の勝」についてのお話が読めるとは思いませんでした。
10月過ぎると、「生搾り」が出るのですが、根室管内でも出回ることが少なくて、手に入れたときには、一人隠れて大事に飲んだものでした。
そうですか、田中屋商店さんにも置いてあったんですね。駅弁と新聞だけかと思っていました。貴重なお話ありがとうございました。
・・・はじめっち

鉄道については素人ですが、スハ43とかいう汽車が、グリーン車や寝台車とかをはずして、自由席になって根室に向かうと聞いたことがあります。
後ろに機関車がついているのは、押してるんじゃなくて暖房用だと知ったのは、本を読んでからでした。知らないことだらけです。
・・・みならいかのん

昔の時刻表を見たら、写真の列車と急行とほかに汽車が2本入っているみたいなのす。
ホームが3つしかないのに、とってもとっても不思議なのでっす。
・・・ゆたか

自分は難しいことはわかんないけんど、むかし、NHKのドラマで水谷豊さん?が根室から乗った急行が、なんか「ニセコ2号」とかいう名前の汽車だった気がするのだ。ちがうかもなのだ。
・・・つるみん

  • 2016/01/17(日) 16:03:49 |
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