それの国内導入から50年あまり、波消ブロックは全国の至る所の海岸線で目にする。一般に「テトラポッド」の呼称が在るが、これはパテントを有する「日本テトラポッド株式会社」(*)による製品の商標である。
(*) - 1961年創立、1995年株式会社テトラに商号変更、2006年に不動建設と合併し、現在では不動テトラ株式会社である
製品と書いたけれど、同社はこれを製造/販売していない。顧客は、同社が設計製作した製造用型枠のレンタルを受け、これに自前でコンクリートを流し込んで生産し、製造数量分の賃借料を支払う仕組みである。テトラ社のカタログによれば、最小のものでも高さ90センチ/質量0.46トン、大きいものは5メートル/80.5トンに達する。工場での大量生産によるコストダウンを輸送経費が遥かに上回る(もしくは輸送不能)ゆえ、設置現場での製造を原則とする特殊な「商品」なのである。
その実際の設置には、大きく三つの方式/形態が在る。直立堤/傾斜堤などの護岸堤付近への設置、海岸と直交方向への突堤、海岸と平行に海中へ構築される離岸堤である。前者が海岸へ到達する波浪の減衰により浸食防止を図るのに対し、後ろ二者は、海浜/海砂の流失防止とそれの養生を目的としている。
厚岸湾は太平洋への開口の大きいゆえに、この門静から厚岸に至る海岸には外海に接するのと同様の波浪が押し寄せる。厚岸方のテトラポッドは突堤と離岸堤の構築だが、根室本線の路盤が海岸に迫る門静付近では海岸線に沿って埋められている。それは突起部を杭状に利用したもので、海浜への直接設置であればその設置下部の浸食を促してしまうためであろう。
海岸に整然と並ぶそれには、厳寒の波飛沫が凍てついていた。
列車は、厚岸までの237D。この線区にもキハ40の進出した頃である。
[Data] NikonF3+AiNikkor50mm/F1.4 1/250sec@f8-11 Nikon O56filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopCS3 on Mac.
道内の撮影と一体で、青函を渡る前に訪れた幾つかの線区の鉄道風景のブログを書き始めています。
更新頻度は低いかもしれませんが、本ブログの姉妹編にして、その内地版とも云えるものです。
Monochrome Days 70's/80's
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