"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

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倶知安 (函館本線) 1977

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国税庁の告示する「清酒の製法品質表示基準」(1989年11月国税庁告示第8号/2003年10月31日一部改正)では、大吟醸酒とは、精米歩合50%以下の原料米にて吟醸造りを行って、固有の香味を持ち、色沢良好な清酒と定められている。
実際の現場では、大吟醸と云えば、その蔵元の旗艦商品であるゆえ、酒造好適米を35%程度まで磨き、洗米に細心の注意を払い、秒単位の限定浸漬を経て、昔ながらの甑による抜けがけ法にて蒸きょうし、これも同様に麹蓋での製麹に至る。酒母こそ速醸酛ではあるが、優良な吟醸酵母を大量に添加して育成し、醪は当然ながら長期低温発酵に管理され、搾りも袋吊りか槽が用いられる。その行程すべてに、杜氏の持てる技術と経験のつぎ込まれ、手作業ないしそれに近い製法が貫かれた少量生産品なのである。

その酒が美味く無い訳がなく、その蔵元における最上でなければならない。大吟醸とはそういう酒なのである。
これを視点を変えてみると、それは杜氏と彼に率いられた酒造集団の使命であり、誇りでもあるから、その造りには自ずと慎重になり、努めて保守的とならざるを得ない。すなわち、冒険を冒すことはなくなるのである。

では、冒険は何処に在るのか。
実際の製造で50から60%の精米歩合の原料米による吟醸酒か、2003年の国税庁告示の一部改正にて製法品質の要件から「精米歩合70%以下」が削除された純米酒が面白いのは、そこである。
この大吟醸に次ぐ製品群には、近年各県で育種の盛んな新品種の酒造好適米や開発/培養の進む新酵母から精米の新技術や酒母/醪管理の新手法など、それらの最初に取り入れられ、実験的なものも含めて多様な芳香や香味を楽しめる。そこからは、その蔵が基準とするであろう酒の有り様や、進もうとしている方向までも読み取れるのである。
価格帯も手頃であり、この製品群からは目が離せない。

倶知安駅からもほど近い丘陵上に所在する「ニ世古酒造」にも、この製品帯に原料米の品種の異なる商品アイテムが揃えられ、多くがこの蔵の拘りでもある原酒である。原酒の商品化自体は珍しくは無いけれど、それを中核に据える蔵は多くは無い。加えて、ここは蔵元自らが製造を手掛ける蔵でもある。
現在の「ニ世古酒造」は、不動産業を営む現蔵元の父君が、売りに出されていた蔵を酒造免許ごと買い取ったのが始まりと云う。廃業もしくはその寸前の蔵であったろうから、その規模からも再生に当たって、新たに高額の報酬にて杜氏(と率いられた酒造集団)を雇い入れる余裕もなかったものであろう。
この蔵とその酒を知った時には、その原酒への拘りと、2000石程と思われる規模の蔵にしては、大吟醸から普通酒に至るまで実に多種な商品アイテムに、失礼な言い方にはなるが「素人臭さ」を感じた。けれど、この素人感覚がここの真骨頂なのである。その経緯は蔵元へのインタビューに詳しい。
その醸す酒は一献の価値はある。

写真は、豪雪の倶知安構内である。
蔵はこの豪雪に埋もれて、寒造りに最適の環境になる。
2番ホームに停車中の列車は122列車。函館本線全線を14時間をかけて走っていた。12時51分着の倶知安は、そのほぼ中間地点になる。

[Data] NikonF2A+AiNikkor50mm/F1.4 1/125sec@f8 Non filter Tri-X(ISO320) Edit by CaptureOne5 on Mac.
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コメント

倶知安

こんばんは。

倶知安、一度しか行っていませんが印象深かった町です。
小沢側でしたか、C62の発車狙いで有名だった踏切がありましたよね。
夜になると強烈な構内灯が灯って、夜間撮影にも最適でした。
屋号は思い出せませんが、駅前付近の純北海道建築の木造旅館も忘れられません。

「お酒」はあまり関心がありませんでしたが、いつもながらのご研究振りには感心いたします。
北海道は米作りのイメージが薄く、酒造りには適さないのではと思っていましたが、
じっくり取り組んだ蔵も多かったのですね。

  • 2012/11/07(水) 00:06:28 |
  • URL |
  • 風太郎 #ORZvdv76
  • [ 編集 ]

Re: 倶知安

こんばんは。

人の居るところに酒在り、ですから、北海道への内地からの入植と同時に、それこそ集落毎に酒造場の
造られたものと思います。
それが、今では13蔵の残るのみです。
この蔵の面白さは、(全国的に例のない訳ではないが)破産した蔵を、素人がその蔵人たちも引き継いで
再生させたところに在ります。
ですから、遠く東京からですと、歴史を刻む酒蔵の多い中で突然に現れた印象でした。

駅前旅館。覚えています。確か、南河旅館と云ったような。

  • 2012/11/07(水) 23:47:27 |
  • URL |
  • wondergraphics #-
  • [ 編集 ]

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