"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

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抜海-南稚内 (宗谷本線) 1968

minami_wakkanai_03-Edit.jpg

もう、すっかり時効だろうし、書いてしまう。
運転取扱基準規規程への違反だらけなのである。けれど、それは遠来の撮影者への精一杯のサーヴィスだったと解している。

1968年の夏、はじめての稚内への遠征の旅で、かの高名な旭川起点250K800M「利尻富士」の標柱の建つ地点を訪れた。
その日の1391列車は、所定時刻よりも30分近くも早くやって来た。貨車の入換えがなく、豊富あたりを早発して来たものだろう。駅長の承認の元にであるから、これ自体は規程に反するでなく、閑散線区の貨物列車には多々在ったことであろう。後に米坂線の機関士に、早発して湧き水のあるところで停車し顔を洗った話など聞いたことが在る。
突然に汽笛が聞こえ驚かされたけれど、遮るものの無いロケーションと遅い運転速度に慌てること無く撮影は済んだ。

南稚内へと走り去るはずの列車は、やがてそこに停車し、なにやら機関士が手招きして呼ぶのである。
何事か、と熊笹の丘を降りて行けば、「もう一度向こうから走って来るから、もう一回撮れ」と言い、そう言い終わらぬ内に列車は後退を始め、みるみると遠ざかって行くのだった。そしてカーブの彼方で汽笛一声、ドレインを切り、ドラフトを高く吹き上げながら接近して来る。せっかくの申し入れであり、線路端からだけれど有り難く撮らせていただいた。

眼前を通り過ぎ南稚内へと向かうと思われた列車は、その先で再び停車し、またしてもこちらへ後退して来る。そして、目の前に止ると今度は「南稚内へ戻るなら乗れ、送る」と仰る。もちろん機関車ではなくて次位に組成の車掌車なのだが、この申し出に従ったのは言うまでもない。
今でこそ蒸機の展示運転列車に組成され、乗車機会のある車掌車だが、当時とすれば滅多に無い体験である。全て承知と言った風情の車掌に迎え入れられた車内は、事務机とベンチに石炭ストーブの設置されるのみにて思いのほか広く感じられた。
ただし、2軸の硬い板バネの走り装置にほとんどクッションの無いベンチに腰掛けての走行は、低速運転でも振動が激しく、幹線列車であれば如何許りかと思われるものだった。

列車は、南稚内へ定刻に到着した。迎えた当務駅長は呆れながらも承知顔であったから、この機関士の恩恵(?)に浴した方は他にも多々おいでなのかも知れない。

[Data] NikomatFT+AutoNikkor135mm/F2.8 1/250sec@f8 NeopanSSS Y48filter Edit by CaptureOne5 on Mac.
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コメント

凄い話

こんばんは。
凄い話ですね。当時の牧歌的な話は伝え聞くものの、これ程のモノは初めてです。

SLブームが本格化する前、もの珍しさもあったでしょうし、
この地点まで歩いてきた苦労へのご褒美という事でしょうか。

この場所、積年の憧れなのにまだ行ったことがありません。
足が動くうちにいつか行ってみたいのですが。

  • 2012/06/12(火) 22:19:59 |
  • URL |
  • 風太郎 #ORZvdv76
  • [ 編集 ]

Re: 凄い話

こんばんは。

鉄道撮影も永くやってますけど、こんな体験はこれっきりです。
この頃までが、国鉄の旧き良き時代だったのでしょうね。
この後すぐに、当局の生産性向上運動(通称マル生運動)のボタンを掛け違えた推進により、
国鉄は労使が鋭く対峙する時代に入り、それは民営化への伏線となりました。

現場への早着には、やはり慌てたんでしょうか、写真を良く見ると明らかにシャッター位置が早過ぎます。

  • 2012/06/13(水) 02:54:32 |
  • URL |
  • wondergraphics #-
  • [ 編集 ]

こんにちは、今日は「外伝」から参りました。
内容には少し驚いてしまいますが、実にいい話です。
時代の背景もあると思いますが、何よりも、鉄道に誇りを持つ者と、鉄道を愛する者の信頼があったことがひしひしと伝わってきます。
デジカメで誰でも気楽に写真が撮れるようになり、鉄道を取る人が増えた、ということは、きっと鉄道が多くの人にとって魅力的な被写体なのだと思いますが、そのような信頼を築き上げるには既に参加者が多過ぎて、「暗黙」で守られていたマナーや価値観が一切通用しなくなっているのでしょう。
ご記載の内容程ではありませんが、私個人も、だいぶ鉄道や他の公共交通機関の方には親切にして頂き、いい思い出も数え切れないほどになっています。
もはや明文化されたルール通りに動かないと埒があかないように思いながら、それ以上にこちらの思いが伝わることは今でもたくさんあるものだと実感しています。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/?pc

  • 2015/02/21(土) 16:04:05 |
  • URL |
  • 風旅記 #O7xVy9HA
  • [ 編集 ]

Re: Re: タイトルなし

こんばんは、風旅記さん。
仰せのとおり、時折にマスコミを賑わしてしまうような事態を引き起こしているのは、偏に参入者の過多に依ります。乗務員にしてみれば烏合の衆に過ぎませんから、信頼関係以前のことになりましょう。
現況は「異常」として良く、どこへ行っても御同業とご一緒する有様など、終ぞ無かったことで旧い鉄道屋としては戸惑うばかりです。ブームとは何れ落ち着くものと、それを待つしか無いと思っております。

  • 2015/02/23(月) 12:20:41 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

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