"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

豊浦 (室蘭本線) 2010

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写真屋の中でも鉄道屋は、撮影で山中に分け入るにせよ、鉄道の無いところには行かないからそれほど危険なことはない。
それでも時には、林道歩きの途中で目の前に人の頭大の落石があって肝を冷やしたり、雪面のトラバース中に足下の雪が割れて小規模な雪崩となるのを目撃したことはある。一度栗林を歩いていて栗が頭に突き刺さったこともあった。この時は一瞬何が生じたのか分からず、強烈な刺激と額を流れる生暖かい液体(血液である)に、その場で座り込んでしまった。以後このケースでは帽子の装着を忘れぬようにしている。

しかし、最大の危機はディジタル撮影での落とし穴だった。
ディジタルなればの撮影は多々あるけれど、暮色時間帯の絵をリアルタイムに暮色に表現が可能なこともそのひとつである。高価な色温度計を屋外に持ち出して、LBfilterの濃度選択に迷いながらの撮影から解放されるのは、確かに福音だ。何よりも、その時刻の色が出る。フィルムに再現されるのはその先の仮の色、言うなれば疑似暮色と言える。
必然的に、日没を越えてそれまで以上に撮影に粘ることになっていた。

豊浦の貫気別川橋梁を俯瞰する植林地は、豊浦 (室蘭本線) 1993で書いたように放棄されてしまい、上部に至る林道も薮に覆われて広葉樹の自然に還りつつ在った。
ここでの撮影を終える頃には、秋の陽のつるべ落としでとっぷりと日が暮れ、あろうことか下山ルートが解らなくなってしまったのだった。フラッシュライトもヘッドランプの用意もあるとタカを括っていたのたが、それには薮の浮かび上がるばかりで、全く草道の判別がつかない。
市街地に隣接し、たかだか100メートルに満たない比高である。それでもこうなると深山と変わりはないのに気づく。一時は薮を分けての直降も覚悟したけれど、深夜に登山道を歩いても薮漕ぎの経験は無い。結局のところ、ライトを消して暗闇に眼を慣らし、地形の記憶に頼ってルートを探すほか無かった。

写真は、その際の撮影カットである。表題の範疇を脱するゆえ[番外編]とさせていただく。
列車は、3051列車。10月末のこの時期、17時の通過は日没の約30分後となる。

実は、この10日後、岐阜県北部の高山本線で同じことをやってしまった。こちらは携帯も圏外を示す人里離れた山中で、より深刻であった。これはディジタル撮影の罠だ。

[Data] NikonD3s+AT-X300AF PRO 300mm/F2.8D 1/125sec@f5.6 Non filter ISO1600 W.B. Auto Developed by CaptureOne5 on Mac.
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