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"Monochromeの北海道 1966-1996" そして Ektachromeの頃

細岡 (釧網本線) 1986

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北海道東部で太平洋岸とオホーツク岸を連絡する鉄道は、『北海道鉄道敷設法』(1896年5月14日法律第93号)第二条に「石狩國旭川ヨリ十勝國十勝太及釧路國厚岸ヲ經テ北見國網走ニ至ル鐵道」として法定されたものであった。これは同条の第一項に掲げられ、政府は道央と十勝、釧路との連絡と共にオホーツク岸に最初に達する幹線鉄道として、同法に定めた路線中で最も速成を期すべく第一期線に編入していた。途中、標茶から跡佐登の間は既設の釧路鉄道を買収の上利用する計画であった(1897年10月31日付で買収)。
厚岸経由は、この時代まで釧路を凌ぐ中心都市であったことに加え、1890年に旧士族440戸が国策の下入植した北・南太田屯田村への交通確保を目論んでのことである。しかしながら、この根釧原野の只中への入植は厳しい自然条件に屯田兵村以外には進展せず、政府は1903年に、それを理由に厚岸-網走間を第二期線に格下げ、これに替えて『北海道鉄道敷設法』第二条二項に規定の「十勝國利別ヨリ北見國相ノ内ニ釧路國厚岸ヨリ根室國根室ニ至ル鐵道」の前段を池田-野付牛間とした上で建設に着手し、これが網走に達した最初の鉄道となった。沿線官有林の払下げを受けていた産業資本の意を受けた立憲政友会の画策が功を奏した結果だった。
これにて、釧路-網走間鉄道は10年あまりを遅滞することとなり、この間の釧路の発展とturi-tuye-us-i(鳥通)原野やkuma-us-i(熊牛)原野など釧路川東岸台地への入植進展を背景に、釧路線からの分岐を釧路に改めて標茶までの区間が1914年8月にようやくに着工を迎えたのだった。

1927年9月15日に釧網線として開通した別保信号場(後の東釧路と同位置)から標茶の区間は、釧路湿原に根釧台地の尽きる縁端をトレースする線形が選ばれ、ここに両端を除いて5箇所の停車場が設けられた。何れも旅客・荷物・貨物を扱う一般駅であり、それによる開拓地の換金作物の安定的大量出荷は農家の収入確保に寄与し、生活物資の供給と物価の低廉は生活の安定をもたらしたのだった。
けれど、戦後に至って、1880年の開削以来に悪路であった釧路標茶間道路(現国道391号線に相当)の整備が進むと、開拓地を貫通していたそれに輸送は次第に転移して往き、遠矢と五十石の貨物扱いは1960年度と云う早い時期に、細岡・塘路・茅沼についても1973年2月5日付にて廃止され、併せて塘路を除く各駅からは営業要員が引揚げられてしまった。
この際には、連査閉塞の運転要員だけは残されたのだが、その後もこれら各駅の縮小は進み1824年2月1日改正にて細岡の閉塞扱が廃止、1986年11月1日改正での電子閉塞の施行には残る全てが要員無配置となり、茅沼では閉塞扱も廃止されて現況となっている。
ここは、1970年代には既に釧路-標茶間の通過連絡が主体だったのである。

写真は中丿沢川橋梁付近のR=362曲線を旋回する5690列車。釧路操車場から北見への石油輸送列車である。
所定は重連仕業だが、荷の軽い夏場には単機牽引だった。
余談だが、釧路町役場遠矢支所によれば、とっくに無人と思っていた細岡駅前には現在も2戸が居住とのことである。

[Data] NikonF3P+AiNikkor105mm/F1.8S 1/500sec@f5.6 Fuji SC52 filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopLR5 on Mac.

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コメント

野付牛

こんばんは。
1986年の道東ですから、何処かでWonder+Graphicsさんと擦れ違っていたかもしれませんね。

そして野付牛。
北見工大近くに野付牛公園という自然豊かなところがあったことを思い出しました。近くを走る石北本線も高架化される前だったと思います(高架化が必要なほど踏切の渋滞は考えられませんが・・・)。

  • 2014/08/18(月) 21:04:26 |
  • URL |
  • 影鉄 #-
  • [ 編集 ]

Re: 野付牛

こんばんは、景鉄さん。
釧網線の北浜あたりか、川湯近辺、根室線の厚岸周辺とかなら可能性あるかも知れませんよ。
国道を機材担いで延々と歩いていた鉄道屋はそう多くはありませんでしたから、ご記憶に在るなら、それは私かもしれませんね。
バイク屋さん達には、数え切れない程挨拶されたものです。

石北線の柏陽から愛し野あたり。かつてとは様変わりしまして、最近ではしっかりと市街地ですよ。

  • 2014/08/20(水) 00:27:51 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

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